ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2002年08月26日(月) 蝉、くうを切ってどこまでも
 たいして意味は無いよ、と君が言う。
 そうか、意味なんて無いのか。わたしは安心する。それはまるで沖に漂う船のように。
 わたしの正体をあなたは知っていますか?
 知らないでしょう。
 わたしは知っているけれど、あなたには教えてあげません。
 教えたらあなたはきっとわたしを魔法で消してしまうでしょう。

 わたしの正体は……。

 知りたくなんてないよね、わたしが呟くと、あなたは珍しく笑って、そうだね、とわたしを励ます。

 わたしは蝉になりたい。
 いや、嘘だ。蝉なんかいやだ。

 たぶんわたし以外の何になったとしても、わたしはわたしが嫌いでしょうがないんだろう。

 涙を流しながらわたしがやつあたりをすると、母は困ったような顔をして、そうね、と、呟いた。

 わたし、とわたしがひらがなで書く理由はなんですか?

 教えてください。

 わたしは何故わたしのことなんか喋らなければならないんでしょう。

 わたしはわたしが嫌いだというのに、自分の話ばかりしてる。

 愚かだな、と、角の生えた人が罵った。
 かわいそうに、と、尻尾の生えた人が慈しんだ。


 それでもわたしはわたしのまま。


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