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2002年12月12日(木) 想像魂との対決〜くるりpresents『百鬼夜行2002』@中野サンプラザ〜

 夜からくるりpresents『百鬼夜行2002』を観に中野サンプラザへ。一昨年から行われているくるり主催のイベント。形態にこだわらず、色んなミュージシャンと共演している。今年の出演者は遠藤賢司矢野顕子REI HARAKAMI

 くるり岸田とREI HARAKAMIの気の抜けたような会場案内が終わると、颯爽と矢野登場。今回はピアノの弾き語り。緊張なのか手が悴んでいるのか、やりにくそうな印象を受けるが、歌い始めるとそんなことは全くなかった。自分の唄以外にも『遠い町で』(宮沢和史)、『さようなら』(谷川俊太郎/谷川賢作)などを歌う。
 12年前まで高円寺に住んでいたので、ママチャリでサンプラザに来た事もあるそうだ。はじめて生で聴いた『ラーメンたべたい』には歌い終わると思わず唸ってしまうほど素晴らしかった。
 ラストに最近のお気に入りだと、くるりの『ばらの花』。淡々と歌う岸田とは違い、抑揚のある彼女らしい歌い方。もうすでに自身の唄になっている。改めて「いい詞だなぁ」と気付く。終わってから後ろの男女が「歌詞違うよね」「歌い方も違う」なんて不平を言ってたけど、それなら家でくるりのCD聴いてりゃあいいだけの話。このライブ来る必要なんかないのに…。

 次にエンケン登場。元くるりのもっくんとのバンドスタイルを期待したけど、今回はギターの弾き語り。1曲目に『カレーライス』。この唄は三島由紀夫が割腹自殺した日のことを歌ったという。静寂の中で異様なほどに動きまくる触手のような指使い。あれが10本の指で奏でられているとは何度観ても考えにくい。ただそれとは別に、あらかじめタネを知っている手品を見ているような気持ちも否めない。
 「今日は出てる奴との対決なんだよな、負けたくねぇんだよ。(観客拍手と笑い)いや、可笑しくないんだよ。敗戦になってから日本は対決ということを避けて、本当は対決しなきゃ生きていけないでしょ、瞬間瞬間。最終的には自分と対決して。それは自分の想像魂との対決なんだけどね」とのMC。そんな後に歌われた『夢よ叫べ』に脳を劈かれた。ラストに『夜汽車のブルース』。歪ませたアコギフィードバックはちょっと不発だったような…。それでも唄、MC共に静と動を全く一緒くたにしたステージに圧倒されっぱなしだった。

 しばしの休憩を挟み、REI HARAKAMI。音色を使い分けて次から次へと音のコラージュを創っていく。生演奏とは違い音色あってのものだけど、音を構築していく姿は生演奏そのもの。普段ならダンスフロアで流れるような楽曲なので、座って聴かれるぎこちなさを洩らしていたが、次第に座っていた客も起って踊り始める。僕は座ったまま目をつむり堪能。歌がないので直接耳に入ってくる音で無限に想像力を掻き立てられる。会場に木霊する音もそれを増幅させる。彼の音楽を全く聴いたことがなかったが、大きな収穫となった。

 ラストにくるり。メンバー全員お揃いの白シャツで登場。「死ぬ気でやります」と言い、ひと掻き鳴らしした後で『尼崎の魚』『マーチ』『GULITY』と飛ばす。ギターの大村達身が加入してからはじめて生で観た。今回はちょっと音量が小さめだったが、それでもギターのアンサンブルが素晴らしい。やたらと目立ちたがるようなリードギターではなく、出る所引っ込む所を弁えている。岸田も唄に専念できる分、より歌い込めていた。ギターの他にもキーボードで効果音を出したりして、CDに引けを取らないくらい音に厚みが出ていた。それとは裏腹にサポートドラマーのあらきゆうこのドラムは合わないように感じた。前ドラマーのもっくんと比べて云々ではなく、楽曲に付いて行けてない気がした。
 『さよならストレンジャー』。ここから岸田は12弦ギターに、佐藤は最近購入したというウッドベースに持ち替える。普段のライブではあまりお目にかかれないようなアコースティックな編成。エレキベースに比べ多少頼りなさげだったが、曲の雰囲気だとやっぱりウッドベース方が合っている。『砂の星』では4人の息の合ったハーモニーが会場を和かに包む。バックに照らし出された星空の照明もそれに輪をかける。
 ラスト、矢野を加えて『虹』。意外な選曲だったが、矢野の声が加わるとより強力になる。佐藤のコーラスとも違う、ひとつの別の旋律のように聴こえた。欲を言えば、ピアノよりキーボードでの方が音色に合っていたかも知れない。

 止まない拍手に応え、アンコール。このイベントの経緯の話の後「いつもは沢山できるのにアメリカから帰って来た途端、曲が全然作れなくて、もうアホちゃうか俺?と思っていたけれど、大丈夫です。このイベントやって色々戴きました。頑張ります」とのこと。そして矢野をもう一度招いて『アマデウス』。ライブでは初披露。めずらしくしっとりと終わるライブとなった。

 エンケンのMCでもあったが、このイベントは共演でもあるが競演である。「くるりに花を持たせよう」なんて想いで演奏しているのはひとりも居ない。それどころか他のを観に来たお客を喰ってやろうという意気込みでいっぱいのはず。他の共演者、もちろんくるり自身にもそれがきっちりと観られたライブだった。来年もまた是非、やって欲しい。

 帰り道、牛丼太郎でとくとくセット(大盛、味噌汁、卵、サラダで¥450!)を食べ、店を出たらドラムのもっくんとすれ違う。ひとりで駅とは反対方向へ歩いていった。声をかけること出来ず、告白できなかった中学生のような気持ちになった。

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臨月 エイジ |お便り気付かない細道へ向かえ旧ぐっどないみゅうじっく

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