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みんみん



 負うた子に

水をこぼしたくてしょうがない。

食事を始めてすぐに水分を要求するのは本当に飲みたいからだが、おなかが満ち足りてからの場合は、液体で遊びたいからだ。
「ぶーぶ、のむ」
水が飲みたいと言った後で、Kはそのままシャーとコップをひっくり返す。テーブルは水浸しになり、床には水たまりができる。そりゃ楽しいだろうよと思いつつ、やっぱり、もうー!と言ってしまう。
「やくそくげんまん」しても全く約束にならないので、強制的に片づける。
ぶーぶのむー、ぶーぶのむー、ぶーぶのむー! と泣いて叫ぶが、おかあさんはこわいおかあさんになるよ。

私は床を拭いてKを正面から見上げる。泣きやんでいるが目には涙が残っている。
涙、出とる。
もう泣いてはいないけれど、Kの気持をいとおしむように声をかけずにはいられなかった。すると。

「だいじょうぶよ〜」

いつもほがらかなKがふっと引く瞬間がある。そんな時私は、ただKをぎゅー、として、背中をぽん、ぽん、ぽん、とたたきながら、大丈夫だよ、大丈夫だからね、と言う。Kの不安を解いてやりたく、そして私自身を落ち着かせるためでもあるかもしれない。かつてそんなことをして欲しかったような気もする。

ただ。
してもらってうれしかったことやしてもらうとうれしいだろうなということをして、してほしくないことをしない(ようにしたい)。

2008年09月05日(金)
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