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みんみん



 長い1日(あるいは長い日記)

毎年お正月には実家で口祝い(親戚が集まってのお正月の食事会)をする。しかし本年ははじきに父の還暦祝いを控えているので、集まりはその時に、ということになった。
というわけで、1日のこととはいえ、比較的自由度の高いお正月。

長い、と言いつつも、やったことといえばおそらく単純。
朝、少し雪のちらつく中、りー氏と8時半のバスに乗り、富山駅まで出る。所要時間は10分くらい。
都市部ではない地方在住者の常として、私たちもいつも車で動くことが多いが、今日は地元の私鉄(富山地方鉄道。通称「地鉄」)が出している年末年始限定のフリー切符を利用し、岩峅寺(いわくらじ)の雄山神社まで初詣に行こうという計画である。地鉄は、電車(路線は3つ)・バス・市内電車を運行しているが、このフリー切符を使うと、年末年始のおよそ1週間強のあいだ、任意の3日(連続でなくてもよい)が乗り降り自由なのである。しかも無記名だから貸し借りもできる。
この地鉄電車、立山や宇奈月(うなづき)温泉への公共ルートとなっているが、とにかく運賃が高い。片道30分も乗れば余裕で5〜600円くらいにはなる。バスも同様。このフリー切符は1枚千円だというのだから、いかにお得かということだ。沿線の人ならば、1回往復するだけで十分に元を取ることも可能。

私たち以外には数人しか座っていないバスのいちばん後ろの座席にどっかと座って、スクラッチ式になっているフリー切符の、「2日」のところを百円玉できれいに削り取る。
「おれにも(硬貨を)ちょうだい」
だんだん楽しくなってきたね。
「すこし」

富山駅前到着。
書いたばかりの年賀状を持って、バス停の目の前のローソンに昨日から設置されたばかりのポストに投函する。ローソンの隣りのビルは郵便局で、その前にはポストだってあるのだけれど、何となくせっかくだから新しいことをしてみたくて、わざわざ入る。
Uターンは既に始まっているらしく、JR富山駅は朝から賑わっている。りー氏は構内で立ち食いそば(富山の駅そばはおいしい)。私は早速忘れ物をしたことに気づき(なんということだ)、コンビニにて購入。
JRから電鉄富山駅に移動し、9時過ぎ発の地鉄上滝(かみだき)線に乗る。南富山経由岩峅寺行き。電車は2両、バスに続いて、私たち以外の乗客は、前の車両に1人、2人いるかなという程度。
がたんごとん、がたんごとん・・・

この上滝線を、私は高校生の時に利用していたことがある。私の通った高校が南富山駅の近くにあり、高1の途中から高2までは、朝、富山駅から乗っていた。ダイヤ改正の後、乗り換えの都合で利用できなくなってからも、帰りに時折乗ることがあった。
高校へはむしろ市内電車で行く方が一般的だったから、私も市内電車の定期券を持っていたのだけど、南富山までなら上滝線に乗ることも出来ると知って(そして上滝線を利用した方が到着も早いし混雑も少ない)使い分けていたのだ。ちなみにこの定期の有効利用を教えてくれたのは当時私が入っていた美術部の部長。
市電の定期で上滝線にも乗れるってあんたに教えてもらったんだけど。
「そだっけ?」
まあ、どうせ何も覚えてはいるまい。

そしてりー氏にとっての上滝線は、おばあちゃんちに行く路線として記憶されているらしい。りーばあちゃん(母方)が沿線に住んでいたのだ。
上滝駅から大川寺(だいせんじ)駅までの間におばあちゃんの家はある。今、おばあちゃんは伯父さんの家に住んでいるから、たまにしか上滝へは戻らないけれど。

電車が進むに連れてだんだんだんだん雪深くなっていく。

大山寺駅到着。
たっぷり雪が積もっている。無人駅で(というか、地鉄沿線で有人の駅を挙げる方が早い)、ちっとも除雪がしてなくて、ごぼっ、ごぼっと雪を踏みしめて歩く。
それでも雪に濡れるくらいならまだましだ。公道まで出て、常願寺川を渡る。一応歩道はあるが、歩く人のことはまったく考えていなくて(歩く人はいないのか!)、ここも除雪はしていない。車道の方の融雪装置の水がじゃばじゃば出ていて、歩道にまで進出しているので、靴が雪ではなく水に濡れる。そこへ通り過ぎる車が水しぶきをかけていく。半身がかなり濡れる。車が来る前に、もう、嫌みたらしく、車道側に傘を掲げ気味にしていく。
日本の道路行政はどうなっとるんだ! だの、歩行者のことを考えないまちなんてロクなもんじゃない! だの、ナンバー控えてやるう!だの、口々に言いながら(お正月なのにねえ)、雄山神社に到着。ちなみにここは私たちが結婚式を挙げた場所でもある。
お参りをしてめいめいにおみくじを引く。りー氏は吉、私は小吉。
おみくじというと、高校生くらいの頃からもっぱら大吉ばかり引いてきた私には(なぜかそうだったんです本当に)なかなか厳しい内容。晩秋に長崎で引いた時もそうだったけれど。新年からちょっと泣きたくなるが、本当のことを言うとそう言われても仕方がない現在の自分であったりもするのだった。お前さんそりゃ調子がよいよ、と。
よいおみくじは持ち帰る。努力を要する旨のおみくじは境内に結んで帰る。というわけで、かじかんだ手で(手袋もして来なかったのだ)結ぶ。りー氏も結ぶ。

泣きたくなる気持のまま(苦笑)社務所にてお祓いの手続き。せっかくだからりー氏もお願いすることにすれば?と言う。

神様にお願いをする時は住所と名前を併せて述べるが、私たちと同じ10時半の回にお祓いをしてもらっている人たちの住所を聞いていると、中新川(なかにいかわ)郡、あるいは常願寺川流域に在住の人たちが多いようだ。雄山神社のある立山町(私の母の実家もある)や上市町、あるいは川を越えた大山町(りーばあちゃんの家がある)が多く、それから富山市でも東の方、例えば水橋、山室あたり。
対する私たちは、富山市の、どちらかというと西の方に住んでいる。それでも心理的距離が近いがゆえに来たという次第。

お祓いを終えて破魔矢やお札類、それから神酒を頂いて、岩峅寺駅へと向かう。時間の関係で小走りになる。無事間に合う。
今度は地鉄の「本線」と呼ばれている立山線に乗る。岩峅寺駅は立山線と上滝線の中継点だ。本線に乗って終点の立山駅まで。がたんごとん、がたんごとん・・・

終点のひとつ手前、本宮(ほんぐう)駅を過ぎたあたりで、急にスピードが緩くなる。景色もいよいよ山岳電車の趣き。傾斜も上がっているし、何より雪がまた一段と深くなって、線路の上に積もっているから、安全を期しているのである。
そのうち、隣の座席から煙が立ちはじめた。しかもなんだか妙なにおいもしてきた。これってまずいんじゃないか。前の車両に避難する。
立山駅到着。りー氏が運転手さんに「後ろの車両の座席の下から煙が出てましたよ」と教える。
「ありゃー、抵抗焦げた!」
その言い方は、また焦げたかというニュアンス。古い古い車両を使っているので、ゆっくり走っていると負荷がかかってそんなことになるらしい。この車両は折り返し電鉄富山行きとなったが、立山駅を出発してすぐに、適当な場所で車両の下部に雪をかけて、ヒートしすぎた抵抗を通常状態に戻していた。

本当は立山駅付近でいろいろ探検したかったらしいりー氏。でも、駅の構内は静まり返ってお店も何も営業していない様子。それで私と同じく折り返しの電車にそのまま乗ることにする。
岩峅寺までは今乗ってきた線路をたどり、その先からは本線の線路に入る。沢中山、釜ヶ淵、下段(これが私の母方の実家最寄り駅)、榎、五百石・・・
そして寺田駅にてりー氏は下車。ここは立山本線と宇奈月線の中継点だ。線路がちょうどY字になっている。入ってきた特急電車を早速デジカメで撮るりー氏。

私は富山駅まで出て、母と駅前のカフェで待ち合わせてお昼ご飯を食べ、まちなかまで初売りに出かける。
大橋歩編集の『アルネ』2号をチェックする。私にとっては興味深い内容が多く、購入(これについては明日にでも書きます)。一緒にパスタフォークなど。

買い物を終え、デパートの前で迎えに来る父の車を待っていると、前方からどこかで見たことのある人(りー氏)がやってきた。おーい。手にはS武の袋。あれはおかいものクマだな。
寺田駅で別れた後、各駅停車で終点の宇奈月まで行ったが、えらく長くてずっと寝ていたという。なんじゃいな。市電に乗ってまちまで出てきて、今からバスに乗って帰ろうと思っていたという。じゃあ一緒に送ってもらいましょうということになる(バスに乗ればふりーきっぷのシメとしてはよりよかったのかも知れないが)。
途中、ラーメンの香りにいざなわれ、父と4人で入ろうとするも、すみませーん、もう3人分しかないんですー、と言われ断念。おとなしく帰る。
出直して別の店でラーメン、りー氏は+ぎょうざ。
その後ニュイでお茶。F氏に遭遇。
その後ロー○ンに寄って出てきたらM氏に遭遇。コーヒー豆をもらう。
帰宅。新年2日目終了。

2003年01月02日(木)
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