酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年07月12日(月) 『熾火』 東直己

 私立探偵・畝原は、あるバンドのおっかけをしている<おばはんトリオ>を撮影しているカメラマンとつなぎを取っていた。そこで突如血まみれの子どもが畝原の太股にしがみついてきた。Tシャツは血で汚れ、下着をつけていない幼い性器はズタズタにされていた。明らかに虐待を受けている子どもを助けた畝原はおぞましい犯罪と警察が隠微しようとする事件に巻き込まれていく・・・
 
 ううう、どうして本物のハードボイルドって奴には悲しみが付きまとうのでしょう。大好きな畝原探偵シリーズがこんなにも心に重く哀しい展開を見せるなんて。心には重すぎる・・・ってのはまた他のハードボイルドのタイトルですけど。
 東直己さんって大丈夫なのかしら。あまりにも警察に対して批判的なのでついつい心配してしまう。警察がこの物語に描かれているくらい腐敗しているとしたならば、日本の安全神話はもう過去のものですね。また子どもを人間ではなく物として売買する組織もアンダーグラウンドには存在していそうで怖すぎるなぁ。
 しかし・・・畝原探偵の恋人・姉川さんには過酷な事件でした。ラストシーンのふたりは哀しいけれど美しくて泣けてしまいました。個人的にはかなり好きです。

「だったら、知っている者の言うことを聞け! 無知を恥じたらどうだ! そんな想像力もないのか!」

『熾火』 2004.6.28. 東直己 角川春樹事務所




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