酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEXpastwill


2004年05月08日(土) 『二人道成寺』 近藤史恵

 小菊は、女形役者の中村国蔵から友人の今泉を探偵として紹介して欲しいと頼まれる。国蔵が今泉に依頼したのは、女形役者のライバルと目されている岩井芙蓉の妻の事件のことだった。三ヶ月前、芙蓉の自宅が火事になり、芙蓉の妻・美咲が昏睡状態に陥ったまま。その火事の原因が芙蓉にあるのでは、と国蔵は考えているようだ。芙蓉と国蔵と美咲。三人の間にいったいなにが・・・。

 深いです。近藤史恵さんの描く男と女。女と女。そして男と男。歌舞伎が好きだからこそ自然にこういう流れが生まれてくるのでしょうね。今回の目玉は芙蓉だと私は思います。だから、芙蓉の心が明確にされなかったことが(ある部分ではハッキリ提示されていますが)もどかしい。私の想像した芙蓉の思いの行方はあっているのかしら。巻末インタビューもいいけれど、も少しそこらを描いて欲しかったな。芸に身を投じる人間の業というか、すざまじいばかりの研究熱心さには背筋が寒くなりました。

 現実はいつも、残酷で、そうして正直だ。

『二人道成寺』 2004.3.30. 近藤史恵 文藝春秋



酔子へろり |酔陽亭酔客BAR
enpitu