酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年04月26日(月) |
『黒と茶の幻想』より「第三部 蒔生」 恩田陸 |
「第三部 蒔生」 蒔生は知っていた。自分が性格破綻者であると言うことを。かつての恋人・利枝子はそんな蒔生にこう言ってくれたことがあった。「自分のことを優しいと思っている人間よりは、自分が優しくないと知っている人間の方がずっと優しいと思う。」と。蒔生は利枝子が好きだった。自分以外の人間にクールに対する利枝子が。自分なんかを好きではない利枝子であって欲しかった。 森を歩く4人の後をひそやかにつけてくる気配。蒔生はそれを憂理だと思っていた。勘のいい利枝子は毅然と蒔生に問い掛ける。憂理とのことを。そして蒔生は・・・。
蒔生は、彰彦の姉・紫織と不安定な美女・憂理と関わりがあった。完璧な恋人・利枝子がいるにもかかわらず。しかも蒔生は罪悪感すら感じない。そんな自分を人でなしだと思い、性格破綻者だと思う。それでも平気で生きてきた。そしてやはり蒔生はそのまま生きつづけていく。 どんなに好きあっていても人と人には相性がある。お互いがお互いをどんなに好きでもうまくいかないことがある。それって本当によくわかる。好きなのに一緒にいて違和感を感じたり、居心地が悪かったりする。人と人ってむずかしい。だからこそ相性のいい人と出会えたら、大切にしていきたい、と思う。 この「蒔生」の章では、あの三月シリーズの憂理の人生が明かされます。でも陸ちゃんの他の物語では多次元の憂理の人生が語られるかもかもしれません。あの憂理らしい人生でしたけどね・・・。
中味の卑しさは、如実に顔に出る。
『黒と茶の幻想』より「第三部 蒔生」 恩田陸
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