酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年03月29日(月) 『1ポンドの悲しみ』 石田衣良

「ふたりの名前」
 サプリメントの箱の裏とは違い、男の背中には裸になっても恋の有効期限は印刷されていなかった。

「誰かのウェディング」
 でもわたしだってこのままいったら乾いていっちゃうだろうな。そう思うとなんだか怖くて

「十一月のつぼみ」
 あなたはわたしの心がからからに乾いてひび割れそうなときに、たっぷり水分を贈ってくれた。

「声を探しに」
 わたしだって三十をすぎているのだ。男を誘惑する方法だって、いくつかは実践で身につけている。だめなら、押し倒しちゃえばいいのだ。

「昔のボーイフレンド」
 こうした行為は、繰り返していけば自然に正しい形やタイミングが見つかるものである。

「スローガール」
 彼女と話すときは、言葉を選ばなければならないと思った。

「1ポンドの悲しみ」
 この世界や流れる時間をとめるには、きっとまだ自分の悲しみが足りないのだろう。

「デートは本屋で」
 本はひとつひとつが小さな鏡で、読む人間の心の底を映しだす力がある。

「秋の終わりの二週間」
 わたしはたとえ損でも、わたしのことをいつも気にかけてくれる人といっしょにいたい。

「スターティング・オーバー」
 そういうのは、ほんとうにもてるなんていわないんだよね。アルコールやニコチンやブランドものなんかと同じで、ただ男の人に依存しているだけ。


 若さの盛りを過ぎ、おとなになりかけている人たちの小さなささやかな恋愛の物語たちです。石田衣良さんのやわらかな暖かい視線が、10の物語から滲み出ていて心がほんわかしてくるよう・・・。人間は所詮はひとり。とことん孤独な生き物。でも自分が見つけ出した愛する人さえそこにいてくれれば、意外に生きていきやすいものなのかもしれません。ただ存在に依存するだけのインスタントで短命な恋愛でなく、心から慈しみたいと思える人が生きているしあわせを再認識させてくれる本でした。
 しかし、サイン会に登場する作家さんが、きっと石田衣良さん自身のことなのだろうと思えてちょっと笑えました。若作りで気障で優しいのね(笑)v
 とても心に暖かい短篇集です。心が疲れたおとなの方にオススメです。

『1ポンドの悲しみ』 2004.3.10. 石田衣良 集英社



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