酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年02月17日(火) 『裂けた瞳』 高田侑

 神野亮司は兄に何度も何度も殴られた。「おれ、実は電波が受信できるかもしれないんだ」と言ったことで。そのショックが亮司の人生を決めてしまった。自分をだましだまし生きることになったのだ。亮司の脳は誰かの激しい感情を拾ってしまう。そしてそれは往々にして“負”の感情ばかりだった。しかし、ある失敗をした部下をかばい、ミスの訂正を手伝ううちに深い関係を持ってしまう部下・長谷川瞳とのセックスで一変する。素晴らしい体験と感情を得たのだった。そしてその相手・瞳もまた不思議な能力を持つ女だった。しかし家庭や職場での立場を守るため、瞳から遠ざかる亮司。そんな亮司の周りで不気味な事件が繰り返しおきはじめ・・・。

 いやー、文句なくおもしろかった! ぱちぱちぱちv 電波とかアンテナと言う言葉が使われだしたのは近年のことですよね。昔ながらの言葉でいえば超能力です。人とは違った力を生まれ持った人はやはり苦労して生きています。しあわせな超能力者の物語って少ない気がします・・・可哀想。
 この『裂けた瞳』は、第4回ホラーサスペンス大賞受賞作品です。不思議な力を持った男の悲哀と、彼の周りで起こる不気味な事件がうまいことつながっていきます。ふとしたよろめきから部下と不倫関係を持ってしまい、保身に走る姿も情けないけど共感できる。その保身がとんでもない結末をひきよせてしまうのですが。また不気味な事件の犯人像がすごく怖い。生理的にゾーッとする犯人像。いろんな要素を盛り込みすぎと言う意見も目にしましたが、私はまったく問題ないと思う。全てがキチンと綺麗に纏められます。すごい人が出てきたなぁ。

 世界中から「いらない」と言われているように思えて、おれは萎えた。どん底だと思っていた場所から見える、更に深い奈落におれは、絶望するしかなかった。
 夜はまだ、明けそうにない。

『裂けた瞳』 2004.1.15. 高田侑 幻冬舎



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