酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年01月31日(土) |
『約束の地』 平谷美樹 |
フリーライターの高木琢己は、新城邦明という青年の訪問を受ける。かつて琢己が書いた《超能力者たちの日常》のデータ収拾をしていたウェブサイト《超能力同盟》に書き込みをしていたひとりだった。邦明は本物のサイキック。そして《超能力同盟》に参加していたメンバーの中の本物のサイキックを琢己に探し出して欲しいと依頼する。過去におこした過ちの贖罪と好奇心から、琢己はそれを引き受ける。ひとり、またひとり、と邦明のもとに集まるサイキックたち。しかしながら、人間を卓越した能力を持つ彼らと普通の人間達の間にある溝は深かった。邦明たちは自分達が自分達らしく生きることのできる“約束の地”へたどり着くことができるのだろうか?
久々に血がたぎり、燃えましたねー。すっごい面白かったです。人間の瑣末さと言うか、愚かさと言うか、小さいなぁと恥ずかしくなりました・・・。 超能力の物語は、古くは小松左京さんの『エスパイ』、筒井康隆さんの『七瀬シリーズ』、宮部みゆきさんの『龍は眠る』、大好きな飯田譲治さんの『ナイトヘッドシリーズ』や『アナン』などが心に残っています。マンガで言えば一条ゆかりさんの『こいきなやつらシリーズ』も好きだなぁ。映画では『キャリー』、最近では大ブレイクした貞子ちゃんの『リングシリーズ』もありますねー。おお、忘れちゃいけない『グリーンマイル』! でも、どの物語でもサイキックたちは迫害され、苦労しています。出る杭は打たれる、ってことなのでしょうか。 普通の人間には計り知れない能力。例えば心を読まれ、物を動かし、未来を予知し、時間旅行さえしてしまう。そういう卓越した存在を恐れ、抹殺しようとする。それは結局ホラーにも通じると思うのですが、“理解できない恐怖”ゆえだと思うのです。人間って自分に認識できること理解できることを越えると、それに畏怖し、排除しようとする。 この『約束の未来』も、人間との共存はなく、破滅(戦い)へと向います。これって仕方ない気もしますが、あまりにも辛すぎる。もしもサイキックが存在するとしたら、やはり息をひそめ、静かに埋没するように生きているのだろうなぁ。面白い!と思いながら読みすすめ、最後にせつなくなる。そんな物語でした。
「未来は変えられる。過去は引きずって行くしかない・・・・・・か」
『約束の地』 2003.6.8. 平谷美樹 角川春樹事務所
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