酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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これは別冊文藝春秋に‘私鉄沿線’と言うタイトルで連載されていたそうです。『送り火』よりも『私鉄沿線』の方に一票です。帯にアーバン・ホラーとありましたが、そうなんですよ。いつもの切っても切っても金太郎飴な重松清節の中にそこはかとなくホラーテイストが混じっていて、ちょっと新鮮でした。重松清さんの物語は、読んだからってなにひとつ問題は解決しないのだけど、それでもやっぱり「もうちょっとだけ頑張ってみようかな」と思わせてくれる不思議な力強さがとても好き。 武蔵電鉄富士見線沿線で起きる不思議な物語たち。私が気に入ったのは、都市伝説をテーマにした「ハードラック・ウーマン」と、このHPを読ませて欲しいと切望してしまった「よーそろ」でした。このふたつは、今まで読んだ重松さん作品の中でもかなり気に入りました。 「ハードラック・ウーマン」は、フリーのライターが街の噂を必死で拾い集めているうちに自分で噂を生み出してしまう。その作り出した噂の真相にライター自身が誰より背筋を寒くします。これは重松さんが一枚上手だった。ありそうでかなり怖い。これは長編ホラーいけるんじゃないかなぁ。 「よーそろ」は、現場から離れない駅員さんのお話。彼は自殺志願者を見抜き、助け続けている。そしてそっと秘密のHPのURLを教えてくれる。これが、いいんですわ。HPなんて、ある部分フィクションと言うか、架空の部分あっていいと私は思っているので、これはこれで大賛成って感じですね。こんなHPあったら日参します。
世の中には「いい奴」もおるし、「嫌な奴」もおる。それが現実や。自分は「いい奴」としか出会いとうない? アホか、ずうずうしいにもほどがあるわ。 逆に言うたら、「嫌な奴」に出くわしても、そんなに落ち込むなや。なあ。丁半博打と同じや。たまたま裏目の奴と会うただけのことやないけ。
『送り火』 2003.11.15. 重松清 文藝春秋
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