酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年06月24日(火) 『キノの旅   the Beautiful World』 時雨沢恵一

 人間キノと言葉を話すモトラド(二輪車)エルメスの数々の不思議な旅の物語たち。キノとエルメスはいろいろな国を訪れ、いろいろな人々に出会い、そして、3日目に旅立っていく。 キノとエルメスが出会う人やモノたちは時に哀しく、時に残酷で、そしてとても愛おしい。世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい。

第一話「人の痛みが分かる国」
 この国では、人の姿が見えず、全てを機械がやってくれる。キノがやっと出逢った人間が語ったその国の進化の結末とは。

第二話「多数決の国」
 ここは、ゴーストタウン? やっと出逢った男から恐怖政治と王への反乱、その後、国の運営は全て多数決によることに決まったと聞かされる。そして今残っているのはこの男ただひとり・・・。

第三話「レールの上の三人の男」
 巨木の森を進むキノとエルメスは、線路を見つけその上を移動し、三人の老人に出会う。一人目はレールの草を取り、磨いているお爺さん。ふたりめはレールを取り外している。三人目は新たにレールを設置している。その三人がどうしてそれぞれ違う作業を続けているのか。

第四話「コロシアム」
 入国した国で、市民権獲得の戦いに巻き込まれるキノ。キノが決戦で出会った男シズの正体は・・・。

第五話「大人の国」
 キノと名乗る旅人と出逢った×××ちゃん。キノはゴミのモトラドを治していた。モトラドの名前は×××ちゃんが、エルメスと決める。
 ×××ちゃんは、大人になる儀式を拒否すると、親に殺されそうになり、キノに助けられる。そして×××ちゃんは、キノの言葉に従い、モトラド・エルメスに乗って旅立って行く・・・。

第六話「平和な国」
 ヴェルデルヴァルと言う国は、平和な国。その平和を保っているものは・・・。

 ううん、これは参りましたねぇ。時雨沢恵一(しぐさわ)さんの文章にイラストレーター黒星紅白さんが物語りにぴったりのイラストをつけた冒険小説です。お話ごとにページ数にばらつきがあるし、ネタばれなしに説明するのは本当に難しいと思い知らされました。これがあと六冊続くのね(涙)。
 キノは、まだ謎の多い人物です。過去も旅の訳もまったく明かされていません。ポイントとなるのは、第五話の「大人の国」だとはわかるのですが。
 しかし、二輪車モトラドのエルメスのキャラクターは最高ですv 気になる登場人物シズ様とシズ様の忠実な僕、陸(こいつは喋る犬!)が魅力的。このまま消えてしまうキャラではないと思いたい。特に生意気な陸!
 あと六冊読んでいくつもりですが、キノたちの出会いや成長が気になるところです。

「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ。・・・・・・でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ・・・・・・。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする。」

『キノの旅』 2000.7.25. 時雨沢恵一 電撃文庫



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