| 2004年01月13日(火) |
27話 『ロボットの墓場』 |
ドーラは腕時計を見る。
「もう6時間経ったな」
たまに擦れ違う白い犬以外、何の変哲も無い走行。 ハンドルを握る必要が無いのでドーラはタバコにゆっくり火を点けた。
「そろそろ駅に着いてもいいころでは?」
サウムが助手席から話し掛ける。
「400�舛�らい走っているな」
走行メーターに目をやる。
「あ、看板が」
灰色の壁面に色とりどりの広告が張られている。
「ようやく1つ目の駅に着いたなっ」
徐行運転しながら先の様子を注意深く伺うドーラ。
カタン……カタン……キィーーっ
停止した。
プラットフォームだ。
2人は額にヘッドランプの着いたヘルメットを被ると電車から降りた。 レールの間を慎重に歩き進める。 脇の高さくらいのプラットフォームに明かりを向ける。
「登ってみましょう」
先にドーラがよじ登り、サウムの手を引いた。 その時、暗がりの奥からピーっと口笛のような音が鳴った。 白いふわふわした犬達がどこからともなく集まってきた。 そして音のした方へ歩み寄る。 何かが居る気配… 気配の正体は胸のLEDを点滅させて近づいてきた。
「怖がらなくていいよ。あれはニンゲンだ」
合成音声だった。 じゃれ付く犬たちを撫でながら声の主は続ける。
「ニンゲンに会うのなんて何世紀ぶりだろうか」
二人の前に現れたのは2メートル近い背丈の、黄色いロボットだった。 犬を撫でる手付きはとてもしなやかで、まるで人間の様だった。
「こちらへおいで下さい。私の仲間たちを紹介しましょう」
手招きをしてプラットフォームの先へ歩いていくロボット。 二人は呆気に取られながらも着いて行くことにした。
「この子達はニンゲンに捨てられたペットの子孫なんです」
この子とは犬達のことらしい。
「…そうでしたか」
やっと口を開いたドーラ。 サウムはドーラより1、2歩遅れて着いて来る。
「”仲間たち”っていったい?」
声が震えている。
「さあ、ここが仲間たちの眠る広場です」
黄色いロボットは向き直って手をかざした。 その方向へ目をやると整然と横たえられた幾百体のロボットが見えてきた。 きちんと向きを揃えて胸の上で指を組んでいる。
「彼らもニンゲンに捨てられたんです。 この駅の上にあるジオシリンダーは、 いつしか大きな廃棄場にされてしまいました。 生きたまま放りこまれた私達ロボットは、 長い階段を降りてここに辿り着いたのです。 やがて廃棄場は一杯になり誰も降りてこなくなりましたが。 それから数世紀が経ち、ひとりひとり寿命を向かえてこのように…」
屈んで一体の表面を触るドーラ。
「あなたはどうして?」
見上げる。
「私は自ら停止するまで稼動し続けます。そのように造られました」
「墓守…ですか」
「そうですね」
言いようの無い哀しさがこみ上げてくるドーラだった。
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