ソレイユストーリー
▽▲▽▲▽ ソレイユストーリー ▽▲▽▲▽

2003年06月30日(月) 2話 『少女の名は「リアラ」』


男の名は「キルマ」
少女の名は「リアラ」といった。

おたがいの身の上を知るにつれ、
ますます心の繋がりを深く感じていった。

キルマは年の頃なら30半ば。
代々海上保安に携わる家系の産まれだった。
彼が、はじめてロボット巡視艇を任されたのは、
まだ数年前のことである。
彼の特技でもあるメカニックとデッサン力を生かして、
方舟の上で過す、有り余った時間を、
ボイラーの修復や機関師らの似顔絵描きで紛らわした。
ほぼ一月の間、あちこちを散策しまくったおかげで、
この方舟のおおよそのあらましを把握した。

リアラの願い…。
それは彼と二人でここを抜け出し、
どこか安全な海域でささやかな暮らしをもうけること。
その時は、きっと…かわいい紅粉鳥も連れて行くわ…

職務をまだ忘れてはいないキルマは、母艦からの連絡を辛抱強く待った。
だがしかし、それは一向来なかった。

この際…
彼の脳裏に、今まで思いもしなかった自分の未来が浮かんだ。

  
                     つづく


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