論外トーク

2005年05月23日(月) オンリーイベント主催の憂鬱

昨日は久しぶりに同人のイベントに参加。
友人が主催のオンリーイベントのスタッフとして働いてきました。
スタッフは何度もやっているんだけど、今回初めて、不測の事態発生…
そのことはまた後で書きますが、いろいろ別のこと。

最近よく感じることなんですが、
イベントに本を買いに来る人、中にはサークルで参加している人にすら
「お客さま気分」の人って、凄く増えているんですね…

同人誌の即売会というのは基本的に「参加するもの」であって、
同人を買いに行くだけであっても「お客さま」ではありません。
(企業が運営しているイベントだとどうしても感触は違ってしまうと思うけど、少なくともサークルと一般は両方とも「参加者」だと思います)

オンリーイベントを主催している人に聞いた話なのですが(今回の主催の人とは別の人)、

「あるサークルの本を買えなかったのはイベント主催側が悪い、と言われました」
「…なんでですか???」

1.その人は地方から上京して、初めて同人誌即売会に参加した。
2.行ってみたら長蛇の列が出来ており、整理券を渡され「12時からでないと入れません」と言われた。
3.周辺の店で時間をつぶし、12時になって会場に入ると、人気サークルの本は売り切れてしまっていた。

「それのどこが主催側が悪いのかわかりませんが…?」
「人が来るのはわかっているんだから、もっと大きな会場借りるべきだって」



…まあもちろん、こんな非常識な人は一部であるのはわかっているんですけど…
実際にこういった苦情がメールや掲示板でされることもあるとか。

ただし、「十時より前に会場に一般参加者が集まってはいけないのに(近隣や会場に迷惑がかかるから)集まって列を作っている。その人たちをペナルティを付けずに最初に中に入れてしまう」っていうのだったら、もちろん主催側が良くないと思うんですよ。でもこれ、実際にやってみるとわかるけど、早く来ちゃった人(来てるという時点で困った人たち)を散らすのって大変なんですよ…近くの店で時間をつぶすとか出来るはずなのに、知ってて早く来て並んじゃってるわけだから。
「早く来て並ばないと本が買えない」って言うらしいが、近隣や会場に迷惑かける→同人イベントには会場は貸せないと断られる→イベントが開催できなくなる ということが実際に全国でたくさん起きているということをわかってやっているのかなあ?自分の欲望だけを満たせれば、主催、その他参加者、会場、ひいては同人をやっている、愛好している全ての人たちに迷惑をかけても何とも思わないんだろうか?人として恥ずかしくないんだろうか?「やってる人がいるから私もやる」って、幼稚園以下だよな…
近隣の関係ない人たちだって、あの朝から騒がしいのはなんだ、ということになり、同人の即売会というものそれ自体が悪い、常識のないものだと思われることだって十分にあるわけです。自分たちの好きなものを自分で守るためにも、常識的で節度のある行動をするべきですよね…
というか、ほとんどの人はちゃんとしてるんだけど、一部の心ない人のために、苦労してしまうんだよなあ…

それと、(そうじゃないのもあるけど)オンリーイベントを開催、運営するのはほとんどが企業でもなんでもない、ズブの素人。一個人が、ジャンルを好きで、キャラオンリーやカップリングオンリーだったらそれが好きで、それが好きな人たちが皆で集まって交流したり、本を売り買い出来たりしたらいいなあと思って企画するわけですよ。
結構言われたりするらしいけど、儲けようと思ってやってる人なんて、いねーって!!そういうこと言う人に、ほんとに実際主催やってみろ、スタッフやってみろと言いたい。
参加費取ったり、パンフがガンガン売れたりするのを見てそう思うのかもしれないけど、会場を借りるお金だけじゃなく、見えないところでお金はすんごくかかってるんですよ。
何より宣伝費かなあ。フルカラーのチラシを何千枚、大きめのなら万単位で刷って、一年前とかから配るわけですよ。コミックシティで配るなら、シティにサークル参加しないといけない。出なくていいシティの参加費、交通費も。
もちろん夏や冬の大きいイベントでも、当該ジャンルだけでなく他ジャンルで、それを好きな人がいそうなところには全部配ったりします。普段はメインにしてるジャンルは違っても、オンリーのチラシを見れば「参加してみようかな」って人がいるかもしれないし。夏、冬、会場に早く来て、手の切れそうなチラシを大量に抱えて(*重い)「おはようございます、お願いしまーす」と言いながらえんえん配り続けるんですよ…(遠い目)
たぶん知らない人の想像するのの二十倍くらいは、宣伝に手間ひま金が費やされています。でも、そうでないと人は来てくれないのです(ネットで告知サイトだけでは絶対に参加者は集まらない)。きちんと宣伝活動をしているところでないと、サークル参加者が「あそこのイベントには一般が集まらなそう」と予測して参加を見合わせる→サークル集まらない→一般も来ない という最悪の事態に…
そうやってチラシを配ったり、イベント当日に朝から夕方までスタッフとして働く人たちは、ほとんどがボランティア、無償で働いています。主催の友人を集めたり、一般から募集したり(最近はそういうことはあんまりないのかな?)。昼ご飯と、イベント後の打ち上げは主催の奢り、くらいじゃないのかな。遠隔地の場合は交通費を主催が出してくれることもあるかもしれない。
スタッフだとスペースがもらえることもあったりするかな?でもやっぱり、スタッフとして参加しちゃうとほとんどの時間はイベントに割かれてしまうので、あまり落ち着いては見られませんよね(スタッフの人数にもよるかもしれないけど)。朝早く来てしまった困った人たちへの対処(これで要らない人員が割かれる)、会場設営、サークル受付、パンフの販売、イベントによっては委託販売の会計や、コスプレ登録、カメラ登録などの受付、盗撮への注意など…イベントが終われば、掃除し、会場を元に戻す。きちんとしないと、もう会場が借りられなくなってしまうかもしれません。自分たちだけでなく、他のイベントを企画している他ジャンルの主催さんたちも。

ジャンルの人たちが楽しめるような場を提供するために、一年くらい前から準備して、イベントの度にチラシ配って、やっと開催したイベントでさー、人がいっぱい来て、みんな楽しんでくれてよかったね!ってなってる時に
「あのサークルの本買えなかったのは主催が来る人数を見込まなかったせいだ」とか言われたらさあ…
へこむ…ていうか…アホだよね、その人…あんたが来る人数見越してもう一本早い電車で来れば?(指定時刻より先に来て並べという意味ではない)遠隔地だからそれが始発だ、っていうならそれはしょうがないじゃん。人それぞれ状況は違う、会場の隣に住んでる人もいれば五百キロ離れたところに住んでる人もいるんだし…

儲かるわけでもないのに、色々な苦労をして、心ない人に嫌なことを言われたりもして、それでもオンリーイベントを企画してくださる数多の主催者さんたちは本当にすごいと思います。いつも感謝です。私、自分じゃ絶対出来るわけねーと思うもん。大変すぎて。

かように…「私はお金を出して本を買う客である、だからどんな注文をしてもいい」と思っている人は…割と少なくなかったりするらしく…
最近では、サークル側に「会場に着いたらもう売り切れてました!もっと刷ってください/もっと搬入してください」
とか抜かす奴もいないことはないらしく…

「本を出している人はおのおの色んな状況の人がいる、無尽蔵に刷ったり搬入できたりするわけじゃない」という話と「昨日のイベントで起こった不測の事態」の話はまた明日…


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ユタ