みやにっき
詩人を名乗ることにした。

2002年08月06日(火) ディロールズさんに椅子を差し上げなさい。

いきなり更新滞ってピンチな感じですが,割と気にせず進めるですよ。
一進一退七転び八起き。
全ての道はローマに通じているのだから,埼玉県の地図を持ち歩きましょう。
埼玉に行ったことないけど,僕。

どうでもいいが,この日記,pcの調子悪くてもう書くの4回目なんですけど(泣)


火曜日です。いつのことやら思い出してごらん。

前日に引き続き,朝から猛烈にだるい。
ちょっとした出勤拒否状態,またしてものんべんだらりと休暇を取得。
こうして公務員の夏は食い潰されていくのだ。
年間で20日分の休暇を,ぱっぱか消費している。
あたしの稼ぎだもの,いいでしょう?と無闇に上目遣いになってみたりもするが。
「おまえは,また」と,ひりつく腹が言うのだ。
まあいいか。いいってことにしよう。

さておき。
せっかくずる休みをしたので,フェリーに乗って離島へ向かうことにする。
船は鳥によって包囲されている。
(微かなデジャヴ)
その昔,観光地で売られている鳥用の菓子は軒並み賞味期限が切れていたものだが。
最近はそんなこともなく,ずいぶん贅沢だなァと思う。
鳥に放って遊ぶ妹をカメラで撮影しつつ,姉はぼりぼりと,かっ○えびせんを食らう。
ぼりぼりと食らうみやぎ。
鳥は容赦なく襲い掛かってくるので,油断はできねえぜ。
ぼりぼりと食らうみやぎ。
もうこの時点で,自分の目的を見失っているような気がするがさておき一心不乱に。

離島に着き,妹のリクエストに従って展望台へのリフトに乗る。
なかなかの景色でございますですよ。
まるで絵葉書の,ような。
(人の「きれいだな」を勝手に切り取りやがって)
(まるで絵葉書のような!まるで風景画のような!)
(勝手に切り取りやがって)
僕はちょっと遊歩道を歩いて上の展望台まで登りたかったのだが。
妹の「あぢいぃいぃいぃい」の一言により却下される。
峠の土産物屋でアイスを食べつつ,ばあさまと散歩中の猫を眺める。
リフトを一緒に乗ってきたらしい。
そういや,以前に実家で飼っていた猫も,紐をつけてあちこち散歩したものだった。
一緒にキャンプにもいったのだ。
見ると,柄までもそっくりな猫で,胸がきゅとするのだ。
のんきに,ばあさまとアイスを分け合って食べていた。
きゅ,と。

妹は失敗した。
根本的に失敗した。
「…ちょっと歩かない…?」という僕の提案を,断固蹴るべきだったのだ。
僕は何しろ歩く生き物であるから。
僕の「ちょっと」は,最低1kmからを指す。
とりあえず,公道を2kmほど辿ってみた。
序盤にこそ虫を探したり木苺をつまんだりしてご機嫌な妹であったが。
徐々に「あづい」「のどかわいた」しか言わなくなって愉快。
僕はと言うと,歩き始めた途端に調子がうなぎのぼり,もうどんどん速く歩きたくなる。
気分を変えて山道に分け入ってみることにした。
沢の湿り気のせいで,なにやら浴びるような心地よさだ。イオンとかなんとか?
(しかし何より,「この山はマムシの巣です」という表記が気に入った)
(適度な緊張感は,人に活力を与えるのだ)
しかし僕は山道も大好きなので,ペースが緩むはずもなく。
約1kmの山道をたったかたったか歩き,島なので海岸に到着した。
ひとけのない開けた場所というのは,なんて気が楽なんだろう。
人工物が目に入らない風景というのは,なんて気が楽なんだろう。
きっと僕の足跡の分だけ,ひとの匂いが立ち込めるのだ。
と,サンダルの下で砂が鳴る。
そんな風景で,おにぎりをもしゃもしゃと食べるのだった。

気を取り直して,またしても歩くのである。
もう何キロか歩いて港に帰り着くが,まだ歩き足りないので海水浴場を見に行く。
またキロ単位の。
(妹はすっかり目が据わっている)
(すでに,自販機を見かけるたびに「のどかわいた」としか言わない)
(妹は目が据わっている)
遊覧の船はもう時間が終わっていたのだが,観光客向けの水槽を発見する。
水槽というか,水桶というか。
浅く広い箱の中にエイやらフグやらイナダやらカニやらがひらりらしている。
きんととやめだかしか日常に見る機会がないので,二人でずーっとぼーっと眺める。
きみたちはあそこからきたの?
と問うてみるのは人間ならではのエゴということで。
きてもらいたいと思っている,かわいた陸地のいきものであるからして。

気づくと日暮れなのである。
さすがに後悔した。
またてくてく歩いて港に帰ってみると,乗って来た航路の最終便がすでに出ていたのだ。
しょうがなく,違う航路で本土に帰る…。
到着する港は,車を置いた港からまた2kmほど離れているのだった…。
すまない妹よ。無謀な姉を許してくれ。
もう最後には二人してぶちきれて,げらげら笑いながら夜道を歩いたけれども。

よく眠れました。
うんざりするくらい,よく眠れました。
身体を好きに動かして眠るくらい心地いいことってそうそうないと思うの。
ああ,ごめんねごめんね僕にごめんね。
動きたかったんだねずうっと動きたかったんだね。
魚のように魚のように魚のように。
いつか来るものたちのように。

水の気配が,して。



今日のお楽しみボタンぽちっとな。

↑押すと文章が変わったりのアレだ。
ご,ごめんねごめんね妹よ。
しかも二人して歩くに向かないサンダルで,靴擦れしまくり。

何がそんなに駆り立てやがったのか,もはやわからないのでありますが。



今日のタイトルは第四代チェスタフィールド伯,フィリップ・スタンホープ。
イギリスの政治家。書簡によって英文学史に有名であるとか。
臨終に際しても,周囲の人に気遣いを見せるお人。


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