階段を上っている、ふわっとした感覚
その感覚が、「すべてを捨てて、ここから抜け出そう」ということばを生み出す
水中からプールサイドに上がるような感覚
家も人付き合いも仕事もパソコンの中のデータも、もちろん家族もすべて
深夜に寝付けなくて、寝る場所をかえようと階段を上がっているだけだったのに
寝苦しい、だけ
たったそれだけで、「すべてを捨てて」
今日は打ち消した
クーラーでドライを入れたから
でも、明日、打ち消すものはあるのだろうか
たったそれだけ
でも、命のたったそれだけのもの
存在者が狂おしいほど軽々しいそれだけのもの
軽々しさから目を背けることだけは、「すべてを捨てて」に入れられない