たった20分、30分のために前日から栄養まで考えて、目を閉じて眠りにつく
たった20分、30分のために長年に磨いてきた技巧や精神コントロールや呼吸法
7月の清々しい満月の夜を飛翔していくようなエレクトロの重低音が遥かに及ばない充実感
7月の女々しいジメジメとしたナメクジが這うような湿度に、衣服の虚栄心もカフェ読書の虚栄心も電話の張りのある声の虚栄心も奪い去っていく
たった20分、30分のために前日から、いや長々と積み重ねてきた1回1回、砕け散るかあるいは救われるかが鮮明に突きつけられる
いつの間にか爛れ落ちていく水滴が
どうして、と目を閉じても
なぜなの、と心を閉じても
そこへの、と肉を閉じても
喜怒哀楽、と脳を閉じても
1回の後は必ず、いや決して必ず頭を両手で握りつぶすような鈍痛、この四肢に爛れ落ちていく水滴
そしていつかは、閉じても、それも閉じていく
涼やかな気化熱は未だやってこない、いや決して必ず涼やかな気化熱は未だやって