君ほど僕を深く愛して、必要として、好いてくれた人はいなかった
だから、一生の信条と決めてきたのを何度も改定してきたし、結婚という通俗関係にも否定的な感情を抱かなくなったんだ
何も考えずに死んでいくだけの豚の、いや能力が与えられているのだから豚以下の、そんな社会の再生産に身を落としてもいい、と感じられた初めての君だった
けれども、比較できない深い愛は絶対的ではなかった
その深い愛は対象が僕以外に変わるのを風の香りで嗅いだ
絶対的に深い愛が永遠不滅の絶対ではない
肉体の奥底に隠れている大腸や肝臓などを、両手で掻(か)き出すような深い愛が、そして僕の内臓はからっぽになった
だから、二の腕の垢(あか)を爪の先で、こちょこちょとくすぐる様な穏やか過ぎる愛も、春先に誰にも気がつかれない程、ちょこっとちょこっと増えてくる水蒸気のような包み込む愛もあるんじゃないだろか
穏やかで包み込むような控えめすぎる愛が絶対であることもあるんじゃないだろうか
見落としてきた愛が