観ることを、冷徹な論理で私の個体性を切り裂いて観ることを、喜怒哀楽や幻想に基づいた希望的観測や日々の些細な営みで止めてしまえば、もう私は生きている価値など一切ない
それは生きているのではない、肉体が死んでいないだけ
かといって、冷徹な論理の行き着く天上では私の個体性などバラバラに切り刻まれて、組織液1ccさえも、いつも噛む右手中指のささくれさえも、誰もが加齢で気にしだす横脇の脂肪細胞のたった1つさえも、残れないのだ
それは死んでいるのではない、個体が生きていないだけ
ああ
嗚呼
異郷の祈りのポーズになっていた、両手を組み支えきれないような頭を押し付ける
この両肩から生えた冷徹な論理という白い天使の翼
這いつくばったドロドロの地上から、一気に透明の透き通る青へと加速する肉体の運動エネルギーを何度ぶつけても突き破れない
厚いのか薄いのかさえ分からない透明な天上の壁
この先は、可知領域外ということなんですか この先はこの肉体では、この個別性では決して抜けられない壁なのですか
ああ、またも空気が壁などないように自由に往来している
もう祈りません その壁はとっくに下にありました
もう感情の高ぶりで超えられない壁も、名誉学歴地位の壁も、装飾美食の壁も、孤独寂しさの壁さえも超えてきたというのに
私の肉体のコントロールさえ瞬間的に消せるようになったというのに、正直や道徳などのちっぽけな社会善、政治的無能ささえ克服し、ゾーンの状態でしか超えられい壁さえ、安直な自殺願望の、勇気や明るさの、悪魔度の壁さえも
あと何が必要なのですか、あと何が足りないのですか
この意識さえ消せるようになったというのに
冷徹の論理を研ぎ澄ましていけば行くほど超えられないと分かるようになるその壁を
この個体性は後数十年です
そしてそれでしか私はないのです
また天使の翼の力は尽きてベチャリとドロリと地上へ落下して叩きつけられるのでしょう
下降する時の重力加速度だけが、上昇する時の翼の上昇力による加速度だけが、たった一つの、残ったたった1つの私の、私の確信です
また、落下して悔しがりましょう。また落下して日々の雑務をこなしましょう。また落下して孤独の寂しさ、喜怒哀楽、飽食名誉、娯楽のために生きましょう
ああ、生きてるって楽しいったらありゃしないんだから
ああ、生きてるって苦しいったらありゃしないんだから
ああ、生きてるって悲しいったらありゃしないんだから
ああ、生きてるって。。。
注記:原題は「 天上の透明な壁 」です。