| 2004年06月08日(火) |
アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』 |
国語教師なんてのをやっていると、読書感想文を読んだりして、読んでもない本でもあらすじだけを知っている本がどんどん増えてくる。 ヘミングウェイの『老人と海』も、そんなふうにして、読まないうちに半分読んだ気になって興味を失ってしまっていました。
珍しく、カトリーナが、職員室の私の机までやってきたから、何事かと思ったら、
「図書館で『老人と海』を見つけた!シンプルで、でもいい作品だから、ぜひ読んでみて!」ととってもうれしそう。
もちろん図書館にあったのは原書ではないんだけど、HEMINGWAYの名前で見つけたみたいです。
異国の地の図書館で自分の国の、大好きな本に出会う。 それがとってもうれし懐かしい気持ちにさせる出来事であろうことは想像に難くないですね。
あらすじは知っていたので、ふんふんと読みすすめました。 とってもシンプルで、含みや比喩のさしはさみようのない短い文章。 でも、孤独で年老いた漁師と巨大魚との決死の戦い。 その壮絶さにひきこまれました。 そして、虚無感と満足感が一緒に訪れるエンディングにはぐっときました。 朴訥としていながら、とても力強く、胸を揺さぶる作品でした。 百聞は一読に如かず、ですな。
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