趣味で知り合いがふえていくのは楽しいことです。 仕事で出会う人や、学生時代に知り合う友人は、自然と同じ価値観、よく似た経歴の持ち主だったりしますが、共通の趣味で出会う人は職業も、年齢も、価値観もまったく多様で、とても面白いです。
同じところで何年間も暮らし、卓球の試合に出たりしていると、卓球での知り合いがとても多くなってきました。 大学時代からのつきあいのおじさんがいます。 大学のサークルの練習にきてくれて技術指導をしてくれたり、相談に乗ってもらったり。
卓球用品店を経営していてこのへん一帯では知らない人はいないくらい顔が広いおじさんです。今でも、試合に行くとよく会うのですが、最近なんだかぎくしゃくしてしまって。
「先生、どうですか?また一年生が入ってきてにぎやかになりますね。 今度ほかの学校3校ぐらいで交流試合をやりましょうよ。 一年生の道具はまとめて買うんですか? なんなら、先生の手を煩わせないように、保護者向けのプリントの雛形もあるから、また、言ってください。」
私の猜疑心がどっかりと居座って、ひきつった顔でうわの空の返事をさせます。 「はい・・・またお願いします」
理由はわかっているんです。 私が卓球と商売をつなげたくないっていう私のわがままなんです。
新入部員がラケットなど一式をそろえるとなると、学校単位ではけっこう大きなお金になります。
技術指導に、という提案も、交流試合に誘ってくれるのも、それでつながりをつくって、卓球用品を買ってもらおうという気持ちからなのかな、と考えてしまいます。 もちろん、それだけの気持ちであんなに熱心にかかわれるはずがない、私のかんぐりすぎだってわかるのですが・・・。
私が教師じゃなければこんなこともなかったんだろうなあ、と落ち込みます。 ただ私が一人のプレーヤーでしかなかったら、おじさんとこんな営業トークをすることもなかったのにな、と思います。
さらに私を悩ませるのは、卓球用品を斡旋するこのおじさんのような知り合いが他にもいて、同じように「学校に指導に行きますよ」と言われることです。 商売がからんでなければ、諸手を上げて大歓迎なんですが・・・。
でも、生徒の立場になってみれば、技術も教えてもらえるし、卓球用品についても専門家に判断してもらうほうがいいにきまっているので、私のとるべき態度は決まっているんです。
おじさんたち業者さんと偏りなく仲良くして、愛想よく振舞って、どんどん指導に来てもらったりうまく利用して、それでいて、過剰な売り込みはやんわりと、しかしすっぱりとお断りすればいいんですよね。ふう。
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