| 2003年10月01日(水) |
嵐山光三郎『文人悪食』 |
自分では手に取らない本、というのがあります。 見た目と言うか、雰囲気と言うか、オーラと言うか。 私は自他共に認める乱読タイプで、広く浅くたくさん読むほうなんだけど、それでも、しらないうちにある一部分、まったく手付かずにすごしてしまったことに気付くことあります。
例えば、この嵐山光三郎の『文人悪食』はそんな私の手に取らないっぽいにおいのぷんぷんする本です。
部活で一緒の先生にもらわなかったら、手に取らなかった確率99パーセント。 だけど、うんとよかったです。 森鴎外や夏目漱石から林芙美子、坂口安吾など、近・現代を代表する作家の食生活、食癖からその素顔を垣間見よう、というような趣旨の本です。
やっぱり、「食べる」って、本能行動だから、ものすごく人間らしい素顔がのぞけます。 私の崇拝する三島由紀夫についても書かれていたのですが、綿密な下調べに基づいて三島由紀夫の食を明らかにした上での人間三島由紀夫の考察がすばらしい! 舌を巻くものでした。
「三島氏は、「虚飾と純粋」をあわせ持っていた人である。人並みはずれた嘘と、人並みはずれた真実を、魔法使いのように使い分けた。」
そうそう!そうなんですよ! 嵐山さん、話がわかるね!
私は大学時代で研究ってものは、私には絶対無理だって匙をなげてしまった人だけれど、最近思う。 もし私が研究することができるとしたら、それは三島由紀夫とその文学についてだけだろうと。 作品を読み、関連文献を読み、歴史を知り、そして、自分の論をまとめる。 そして、それに対する人からの批判を受け、意見を戦わせる。 まったく、自分とはかけ離れた世界の人々のすることだと思っていたけど、三島由紀夫に関してならばやってみたい気がする。 嵐山氏の三島論を読み、無性にそう思った夜でした。
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