| 2009年04月15日(水) |
ポトスライムの舟 津村記久子 |
津村記久子 講談社 2009
STORY: 「ポトスライムの舟」:工場や喫茶店などで働きづめのナガセは、世界一周クルージングに行こうと思う。クルージングは工場の年収と同じ。工場で働いた賃金に手をつけず、毎日を質素に過ごそうとするが…。 「十二月の窓辺」:ツガワは上司のV係長とそりが合わず、毎日針の筵のような生活をしていて…。
感想: 2編の短編が入っている。1編目の「ポトスライムの舟」は、芥川賞受賞の作品。もともと芥川賞受賞作品はあまり好きになることがない私…。今回も2編のうち、どちらかというと「十二月の窓辺」の方が、面白かった…。
「ポトスライム〜」の方は、もしかしたら、現代の世相(ワーキングプア)みたいなのに焦点が当てられてるのがいいのか…。
正直な話、クルージングのために、何もかも切り詰めようと思う姿勢にあまり共感できない。目標のためにお金を貯めるのはもちろん私にもわからないことはないが、この主人公が流されるように生きていて、特に意味もなくクルージングを目標にしているからますます共感できない感じ。
その上、病気になっても、病院にも行かないなんて…。今流行り(?)の肺結核かと思ったよ…。結局そういうことではなかったみたいだけど、働きづめで、食べ物もケチってたらなってもおかしくないかも。
あと、この作者さんは登場人物の名前をすべてカタカナで表記してるんだけど、日本人の名前(名字)をカタカナで表されると、なんかすごくイメージがつかみにくいような…。
「十二月の窓辺」の方は、パワハラについて描かれた作品。人がどういう風に人に無理に従わされ、心を砕かれていくのかがわかる。
辞表を出そうとしても、「辞めるなんて言わないよな」「そんなに無責任じゃないよな」と来られ、でも、何か失敗すれば、「辞めれば」と言われ…。
肉体的暴力を受けることも辛いと思うけど、言葉や態度での精神的暴力もひどい…。
早く辞めなよ、こんな会社!とちょっと最後の方はイライラしてしまった…。
精神的に穏やかになりたいときには、こういうのは読まない方がいいかも。
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