感想メモ

2009年01月26日(月) 歩いても歩いても


 亡き息子の命日に集まった家族たちの夏の1日を描いた作品。

 老いて医師を引退した父(原田芳雄)、父を支えた母(樹木希林)は子供たちが出ていった実家で2人で暮らす。父母の家を二世帯住宅にしてもらって一緒に住みたいと思っている娘(YOU)はちゃっかり者。父に似てちょっと頑固なところのある次男の良多(阿部寛)はバツイチで失職中、子連れの再婚女性(夏川結衣)と結婚。

 長男は15年前の夏のある日、海で溺れた子供を助けるために亡くなった。それ以来、毎年、命日には家族全員で集まることになっている。

 母と姉は朝から料理で大忙し。気がすすまないながらも両親の家に向かう良多一家。お互いに気を使ったりしながら、親戚同士の夏の一日が更けていく。

 台詞がとってもいい感じで、それぞれの人物の思惑がちょっとずつずれていたりする。でも、どこの家族にでもありそうな話で、なんかよくわかるーと思わせるものがあった。

 父母は出来の良かった長男の死を克服できずにいる。父は医者を継いでほしかった。母は、毎年、命を助けた青年を家に呼ぶ。その子の成長が楽しいわけではなく、そこには屈折した気持ちが…。

 でも、娘は案外さばけていて、死んだ兄よりも生きている者の幸せが大事と、思い出の家を壊して二世帯住宅にしようという提案をしていたりする。

 そんな中で良多は父に反発しつつも、そこまで割り切ることもできずにいる。というか、たぶん子供の頃から出来のいい兄に比べられて育って、ちょっと鬱屈した気持ちがあるのかなーと思う。

 良多の継子は父を亡くし、そのことを克服できずにいる。でも、命日の集まりに参加して、少しずつ心に変化が起こって行く。

 親は大変大変と言いながら、年に数回の子供たち一家の帰省を楽しみにしている。けれど、娘や息子は1年に1回も帰れば十分だと思っている。

 親子はつかず離れず…。また夫婦同士にも秘密があったり、それを知っていても言わなかったり…。

 なんとなくいかにも日本人らしい感覚があふれた映画で、見てよかったと思った。


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ゆうまま [MAIL]