unpolite person - 2007年04月01日(日) 浅はかなのだと私は思う。 カツカツと靴音を鳴らして、住み慣れた街を歩きながら。 知らない人間に会いすぎた、今日は。 心が疲弊しているのがよく分かる。 しかしこんなこと、昔なら日常茶飯事ではなかったか。 風は温く、今朝よりもずっと気温が上がっていた。 深夜の一時、道路にはげろや酔っ払いが散乱している。 疲れたとゆっくり唇を動かして、其れを実感するように声に出した。 どうせ誰の耳にも届きやしないんだ。何を言ったって、無駄なだけ。 打ちひしがれているんだと男は言った。 バーの隅に座っていた男。貫禄がある、威厳がある、一目でそれと分かる。 私はすぐにこの男が社会的に高い地位の人間なのだと判断した。 だけれど今夜はこの男ときたわけじゃない、別のやつだ。 隣に座っていたが、どうもこいつは駄目だ。 酒が入る前は普通だったのに、酒が入ると最低のくそ野郎になる。 大体、私は酒の席での無礼は許されるという考えが大嫌いで むしろ逆なんじゃないのか?と思っている。 つまり、酒が入っているからこそ本音や本性が出るのだ。 だから無礼な態度をとる人間はもともと無礼な人間なのだろうし、 たとえ酒が入ってもスマートな人間はもともとそういう人間なのだ。 けれど生まれつき無礼な人間だったからといって、ちゃんと自分で それを理解して無礼を働かないようにすればいいだけのこと。 この男は自分が酒が入ると無礼な人間に「戻る」と分かっているのに それでも酒を飲み続ける。くだらないな。 なぜこの私がこのような低俗な人間と時間を共にしなければないらないのだ? 私の本音はこうであったが、零度の微笑みでお店に迷惑をかけないようにする。 隣の男はすっかり迷惑なので、もはや私の甲斐甲斐しい努力も無駄かもしれないけど。 だって人間の本質を分かってないなんて、私に向かって偉そうにいうんだぜ? あなた、この私を誰だと思って口をきいてるんだと言いたくもなるじゃないか。 年齢で判断するのは日本人の悪い癖だと思うよ。 そんな生意気なことを言われてしまったら(相手から見れば私が生意気なんだろうけど) ふーん、お手並み拝見させていただこうじゃないの!と思うだろうが。 人選ミスだったよ、本当に最悪。 しかしこの男は自分の身をもって人間の本質を見せたから、本題からそれてはいない。 本人はまったく話の通じない酔っ払いと化しているので、欠片も本題など覚えてない。 私がちょっといった一言に怒鳴り散らすのだから、もう手に負えない。 さっさと帰るべきだったんだ。 それでも帰らなかったのは、隅に座った男こそ正に分かっているなと思ったから。 この隣の男とは比べ物にならない、世の酸いも甘いも知っている人だ。 この人と飲めたら、今夜はもう少しマシな夜になっただろうに。 だけど私は一応隣のクソ男の連れなのだ。 そして私たちはただ本当に話をするだけということで合意しているのに、 酔っ払いの思考ではセックスしたいとかいう方向へ行くみたいだ。 それを聞いた瞬間、もう零度がマイナスになったくらい冷めたね。 と同時に私は自分の浅はかさを知ったよ。 結局のところ、男と女にはそういう事柄が絶対的に纏わりついてくるんだ。 これまで男も女もあまり関係なしに「ヒト」として人間を見てきた節のある私にはこれはとても新しい発見だった。 嫌な気持ちになってこそ、学ぶこともあるのだな。 ただ矢張り、低俗という感は否めないが。 嗚呼、私は早く俗世と関係を切るべきなのかもしれない。 あるいはもっともっと距離を置くべきなのかもしれない。 タクシーをじっと待つ。 桜の花が何処からかひらひらと飛んできた。 私は今、打ちひしがれている。 そして疲れている。 退廃している。 ...
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