宿題

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2006年07月21日(金) 白鳥の精神/小林秀雄×河上徹太郎
(私小説ということで他の作家と比較すると?と聞かれて)

小林
それは島尾敏雄でもなければ、
上林暁でも、尾崎一雄でもないですからね、
正宗さんの私というのは。

あの人にとって自然主義とは、
現実は九尾の狐だということさ。
たとえばリルケが言っているようにね、
神様というものを見るのにね、
ぼくら人生を写さなければならないだろう。
そういうときには、ぼくらの写真機というのは
ネガだというのだな。
ネガなんだよ。神様というのはポジなんだよ。
ところが、ネガがなければポジがないのだよ。
ピッタリネガに合うポジなんだ。
そういうこと手紙の中に書いている。
同じ気味合いのものが、
正宗さんの思想にあるかもしれない。

聖書というのがあるのだよ。
聖書という一つの観念があってね、
1日黙々とネガを撮って歩いて、
寝る前に聖書を読むのだから
着物の柄なんてたいしたことはないのだよ。
でも、どんな柄を着たって人間だからな。
そういうふうな写真を撮っていくわけだよね。
それが非常な好奇心を持って撮られている。
そういうところにあの人の私があるのだろう。


★白鳥の精神/小林秀雄×河上徹太郎★

マリ |MAIL






















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