宿題

目次(最近)| 目次(一覧)| past| next|

2005年04月18日(月) 笑うふたり/青島幸男×高田文夫
青島 学生のときに結核になって、若いしヒマ人だから、色んなことを考えるわけだ。
どうせ身体は弱いから大した労働はできない。それで、物書きになろうと思ったわけだよ。
家にいて居職で仕事ができるだろう。

高田 物書きのほうを選んだと。

青島 小学校三年生くらいからずーっと本ばっかり読んでたんだ。
それで大学を出る頃には、どうしても物を書いて飯を食うようになりたいと思ってたね。
だけど、どうしていいかわかんない。で、卒業するときになって親父がね、
「お前、大学を出してやったのに、うちでのらりくらりされてんのはかなわねえ。
何かなりてえものあンだろう」って言うから「言えば笑うんじゃないですか」っつったら
「笑わないから言ってみろ」。で、「小説家になりたい」って言ったら、クッと笑うんだよ(笑)。
「笑ったじゃねえか」って。そしたら親父が
「小説家なんて、そらあ売れてくれば、何かの広告の裏へ書いたって、一枚一万円とか、
三万円とかになるんだそうだし、元かかんないで儲かる商売で悪かないが、
それは何万人に一人って才能のある人が、何万人に一人っていうような努力を重ねてそうなるんであって、
おまえにはそれは無理だろうから、もっと堅気のことを考えろ」って言う。
それで、あの頃トリスバーがはやってたんで、「トリスバーってなんか、
水売って儲けてるような気がするんだけど、あれ、やろうかな」って言ったら、
「そうだよ、そういう堅気のこと考えなきゃダメだよ」って(笑)。

◇

青島 いくつになってもさ、五里夢中っていうか暗中模索っていうか、
スタジオに行っても何しても、小生意気な若造だって言われて、それを誇りにも思い、
生き甲斐にもしてたのにさ、いつの間にか、どこへ行っても「最年長の方、どうぞ」
なんて言われちゃう(笑)。

高田 そういう年頃になっちゃいましたよね。

青島 そうだよ、都庁の中でだって、俺、最年長なんだから。

高田 この中でも最年長になっちゃった。

青島 うん。小生意気な最年長っていうのはないからな。

◇

高田 詩を先につくってたんですか?

青島 というか、新しい映画をつくるっていうたびに、音楽担当のデクさん(萩原哲晶)に
「じゃ、今度はこういうのを書きましょう」ってアウトラインだけ書いて渡す。
そうするとデクさんが、A案、B案、C案って、いくつかメロディを作ってくる。
それで、渡辺晋さんの家に持ち寄って、ハナちゃんなんかも来て、
A案とC案のサビを取って、真ん中だけこっちへ生かそうとか何とか、
ワイワイ言いながら大笑いしてるうちにできちゃうんだよね。
それで、一つだけデクさんが作ったのが、
♪ごまをーすりイまあしょ……って、

高田 『ごますり行進曲』。

青島 あれは、デクさんの発案なんだよ。「だいたい、ごまをするっていうようなことはですね、
男子の本領としてやるべきことではない。ごまをするということは、
これは人との付き合いの潤滑油みたいなもんで、これをなくしては付き合いはあり得ません。
ですから、盛大にごまをするっていう感じの歌を作って下さい(笑)」。
それで、♪ごまをーすりイまあしょ。

高田 あ、スレスレって。

青島 陽気にごまをねっていうんだからさ、びっくりしちゃうよ、たいていの人は。

高田 すごいですよね。

青島 デクさん変な人でね。『無責任一代男』の主題歌は「コツコツやる奴ァ、バーカ」
とか言ってたんだよ。
そしたら晋さんが「バカっていうのは、ちょっとあんまりナマすぎる」って言いだした。
そしたらデクさんが「ごくろうさんっていうのはどうです?」。一発で決まっちゃった。

高田 「コツコツやる奴ァごくろうさん」

青島 「こんなに人をバカにした話はないっていうんでね(笑)」。

◇ 

高田 作詞はクレージーだけじゃないですもんね。(坂本)九ちゃんとか。

青島 「明日があるさ」とかね。人づてに聞いたんだけど、
談志君が「身ぶるいするようなうまいこと言おう」というフレーズが大好きで、
大ウケにウケてたって。

高田 そうそう、言ってます、言ってます。


★笑うふたり/青島幸男×高田文夫★

マリ |MAIL






















My追加