宿題

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2005年04月09日(土) 笑うふたり/立川談志×高田文夫
規制しないと人間は、どこまでも行っちゃうよね。
そのために作法とか常識とか礼儀があるんでしょう。

◇

やつ(神様)の第一の失敗は、コロンブスに天罰を与えなかったこと。
コロンブスはバカだから帰ってきちゃって、「地球は丸い」なんて言い出した。
地球は平らなんだから(笑)。
九州から台湾まで平らだろう。スエズからマルセイユまでだって平らでしょう。

ロンドンから大西洋、ずっと平らじゃないですか。
ニューヨークからロスまでだってずーっと平らじゃないですか。
ハワイから日本まで平らじゃないですか(笑)。

どう考えたって丸いわけがない(笑)。
ねえ、それを「平らじゃない」なんてグズグズ言うやつは、
向こうでザーッと滝に落っことして殺しちゃうとかね(笑)。
神様のやつ、バカで手を抜いたから、コロンブスが帰っちゃった。

コロンブスがいけないんだ。
「地球は丸い」なんて言いだして、それで味をしめた。
で、始末の悪いことに、ニュートンだとかデカルトだとかってやつらが出てきて、
万有引力の法則だとかいろんな能書きこくようになっちゃった。
この文明を肯定しちゃったんだな。
肯定っていっても、文明の進歩がもたらす恩恵を肯定するっていうことじゃなくて、
いま生きてる三次元の世界を肯定しちゃったんだ、無理やり。
つまり、「ここに机があって、ビールが置いてある」っていうのを物理的に肯定しちゃったんだね。
どうもそれが、俺は信用できないんだよね。そんな風に信用しちゃったものだから、
この壁をつき破って行けなくなっちゃったんだ。
じゃ、つき破って行けるのかといったら、行けるんですよ、麻薬やるとな(笑)。

◇

俺が落語を含めていろんなことを説明するよりも、やがて科学が説明してくれるんじゃないかな。
例えば、俺と高田のデータをインプットしておいて、
それが立体でいつでも出せるようになってくると、当人の存在いらないでしょう。
百年後に誰かが、談志と高田とお釈迦様とでちょいと話させてみようって、
ポンとボタン押したら出てくるかもしれませんよ、全部入れておけば。

人間の頭とコンピューターとの違いがあるって言うけど、違わないよ、そんなもの。
もともと人間が人間を見る目が誤認だっていうんなら、コンピューターも一緒に誤認だけど、
少なくともコンピューターは取り違えないよ。

◇

けど、命を優先するっていうのはおかしいよ。俺、食道がガザガザになって、
切ってるときに思った。
もし、ここに(フレッド・)アステアが来てね、サッとステップ踏みながら、
グッとワイン目の前に出してきたら、俺飲むよ(笑)、命賭けて。
生きてるって、そういうことよ。

◇

(落語には)真実をとりあえず衝いているものもあれば、いい加減なものもある。
何であろうが、しょせん人の世の「きめごと」なんてこんなもの、全思考ストップだ。
科学というものを含めて、全思考ストップ。人間それ以上考えたらえらい目に遭う。
「それ以上行く必要ない」って言ってる。コロンブスも行く必要はなかった。
落語なら「どんどん行ったらどうなる」「先は塀があるから行けない」っつうんだからね。
そこで引き返してこなきゃいけないんだ。コロンブスだって嵐で引き返してくればいいじゃない。

◇

俺はどうもこの世界がウソくせえと思ってるからね。
どうも夢ン中のほうがほんとじゃないか、
イリュージョンがほんとじゃないかっていう気がしてる。

◇

落語がうまいとか何とかっていうことじゃなくて、
落語を通じて人生にどこかでインパクトを与えるっていうのは、
(古今亭)志ん生師匠と俺ぐらいじゃないのかなあっていう気がするんだけどね。
志ん生は高座なんかでそういうことを言わずに、わかるやつだけがわかってたんだけど、
俺の場合は、それを分解して客に説明してるから、その分だけ野暮だって言えば野暮でしょうね。
だけど、俺は言ってる。そういうことを含めてつまり、俺は利口ぶってるわけですよ。
でも利口ぶってるバカなら客もバカにしやすい、楽なんですけど、
利口ぶった利口だから始末が悪い(笑)。

(始末がわるい)

そう、そこで開き直ってるんですよ、どうだ、うめえだろうって。これ大変なんだぞと。
でも例えば、俺が高田文夫をボロクソに言ったとするか。
それで高田がちゃんと「こういう訳だ」って反論したとする。
それが理にかなってれば俺は「あっ、悪かったな」ってすぐ謝っちゃう。

(早いんだ師匠は、謝るの(笑))

早い。謝んの早いぞー。今日はごめんなァ……これでいいか。

(よし許す)


★笑うふたり/立川談志×高田文夫★

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