宿題

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2002年07月09日(火) 麦ふみクーツェ(第一章)/いしいしんじ
ふしぎなことに、打楽器をたたくときにだけ、用務員さんの不自然な動作はぴたりとやんだ。

それも、おじいちゃんに教わったとおり打つと、からだがこれまでになくなめらかに動くんだそうだ。

じいさんの音楽が、自分のからだをしゃんとさせる、

「ほんとうのおんがくって、そういうなにかなのさ」

そう用務員さんはいっていた。

   ◇

「わたしがいいたいのは、次のふたつです。なんの仕事であれ、募集広告を鵜呑みのすることなかれ」

生徒たちを見わたし、「そして、たったひとことがその後三十年を変えることがある。

そのひとことを、いつか聞き逃さないようにしてください。これだけです。諸君、卒業おめでとう」


★麦ふみクーツェ(第一章)/いしいしんじ★

マリ |MAIL






















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