宿題

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2002年06月12日(水) ナンシー関さんを悼む/大月隆寛
訃報は常に大文字です。

彼女もまた「ユニークな消しゴム版画家」「辛口のテレビコラムニスト」、といったもので

言い語られ、追悼されるのでしょう。もちろん、それは間違いではない。

世間にとってのナンシー関とは、おおむねそういう書き手ではありました。

でも今、ナンシー関がいなくなった、ということは、単に雑誌界隈がおもしろくなくなる、

といったこと以上に、実はかなり大きな思想的事件だということを、心ある人たちはそれ

ぞれしっかりと感じているはずです。

それはたとえば、三島由紀夫が割腹自殺し、連合赤軍があさま山荘で篭城し、オウム

真理教が無差別テロを展開した、それらとある意味で匹敵するくらいの大きな時代の

転換期を象徴するできごと、になるはずです。

彼女が斃れた、ということは、八十年代出自の価値相対主義思想の、その最良の部分

が失われた、ということに他なりません。

笑わないで下さい。

これは本気です。その意味を、これからあたしたちは深く思い知ることになるはずです。


★ナンシー関さんを悼む◇産経新聞(6月13日)/大月隆寛★

マリ |MAIL






















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