○プラシーヴォ○
目次|←どうして?|それから?→
マンガを買って
ビールを買って
大丈夫、これで退屈しない ハム男は今ごろ テレビのサッカーに釘付けのはず
思ったとおりだった
ああー、何やってんだよ とテレビにハム男が呟く
ピザを食べる私
お疲れさま、仕事どうだった? とハム男がコマーシャルの間にキスをする
まあまあです、とビールを飲む私
そこに蹴るかあ?と またハム男がテレビに呟く
洗濯物を干す私
サッカーが終わり
セックスが終わり
眠りにつく瞬間、たまらずに私は口を開いた
ダメヨ、と プライドが私の口を押さえる前に 私は言ってしまった
「ハム男、もう私に会いたくなんてないんでしょう サッカーや、あなたの友達との約束の後回しだもん 私ばっかり好きみたい 不安だよ、もう疲れちゃったよ」
なんて醜いセリフだろう 相手に
「そんなことないよ」
と言って欲しいのがミエミエの ずるいセリフ
期待を裏切らず、ハム男は言った
「どうしたの急に… 会いたくないわけないじゃないか」
そう言って、私の涙を拭くために 体をねじってティッシュを取った
「付き合い始めた頃を思い出してよ 俺ばっかり、がちゃ子に電話をしてたよ がちゃ子から電話がかかってくることなんて なかったじゃない あの時の俺の方が、遥かに不安だったと思うよ」
うわーん
マンガじゃあるまいし
まさか自分が
うわーん
って声で泣くとは思わなかった
安心して ばかばかしく思えて 喉が震えて泣き声が出てしまった
いっぱいいっぱいセリフを考えてた モンモンとしてた
もう面倒くさくて 別れたほうがいいのかもしれないだなんて 思ってた
なのに
「俺は会いたいよ 何が不安なの?」
とアッサリ言われると
自分でも分からなくなる
私とハム男は両思いで
これ以上何がいる?
私より遥かに温度が高い ハム男の体温に抱かれて
私の思考は これ以上ないくらい
シンプルになっていた
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