○プラシーヴォ○
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『依頼者が母親と撮った一枚の写真。 そこには、封印したはずの過去が写っていた。 それは、子供達の悲しい声』
心霊写真特集の番組でのナレーション。
5年ほど前に 「事情があって身ごもった子供を産めなかった」 女性が、番組宛に写真を送ってきたのだ。
その写真というのは、 女性の肩のあたりに、3人の子供(2〜3歳かな)の顔が のぞきこむように写っていた。 光の加減とかそういうレベルではなく、 肌色をした顔がはっきりと写っていたのだ。 産めなかった子供は、双子だったらしい。 (流産か中絶かは分りませんが)
番組でコメントをしていた霊能者のおばさんが 優しく言った。
「・・・いろんなケースがあるのですが、 これは、まさにこの女性のお子さんです。 淋しがっているんですね。 辛いことだったかもしれないけど、 忘れずに私達のことを受けとめて、と言っているんです」
少し胸がチクンとした。
天国へ行ってしまった子供に名前をつけて、 ことあるごとにその子に話しかけたり、 何かあればその子が怒ってるからだの、悲しんでるだの言ってる人達を 私は、冷めた目で見ていた。
けど、それが自然なのかもしれないと 少し思った。
子供の話を彼氏としなかったり、 なるべく思い出さないようにしている私は、 あの子の存在を否定しているだけだったのかもしれない。
それこそが、1番楽な方法だったかもしれない。
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