○プラシーヴォ○
目次|←どうして?|それから?→
母がいないので、一人で外で夕食を食べた。 ラーメンの重さをお腹に感じながら、 ふとハム男に電話してみた。
「ハム男、今どこ」 ザワザワ、ノイズが多い。 「会社の近くのメシ屋に、会社の人達と入ってきたところ」 「ハム男の家に行きたいんだけど、今日、合い鍵忘れちゃって・・・。 ハム男はどれくらいで家に着く?」 「うーん、まだ注文もしてないし・・・ 皆と食べるから・・・1時間くらいかかるかな」 「そんなに?」 「うん。食事終わった頃、電話しようか?」 「いいよ・・・今日は行かない」 次のハム男の返事を待たずに、携帯を閉じる。
もう、私が家に行きたいと言ったくらいでは、 食事を早く切り上げる理由にはならないのだ。
彼女が湿気と熱気にまみれて外で待ってても 食事をゆっくり皆と食べるほうが大事なのだ。
昔は、自分が食事が終わってても、私が食事に誘うと 飛んで迎えにきてくれて 一緒にレストランに入ってくれたくらいなのに。 (ハム男はコーヒーとかを飲んでる)
私はちっとも優先されなくなった。
少しくらい邪険に扱っても私はいなくならないものだと 思っているらしい。
以前、1度ハム男に言ったことがある。
「私がずっと側にいると思ったら、大間違いだよ」
酔った勢いで、 ずっとずっとずっと言いたかったことを言った。
軽く言ったつもりなのに、私は笑えなかった。 とてもとても厳しい声になってしまった。
すると、ハム男が苦く笑って、 「今まで彼女と別れてきた原因は、それかもしれない。 俺は、本当に鈍感すぎるから」
また、同じあやまちが繰りかえされちゃうよ。 ハム男、私をよく見て。 ちゃんと、大事にして。 自信がなくなったよ。 私、彼女なの?
|