遠距離M女ですが、何か?
井原りり



 プロ根性

もとの原稿の圧縮ファイルが届いたのは先月だ。

最初の締め切りは今月20日だった。


まず、リカバリしたばかりで解凍ソフトすらない状態だったので「窓の杜」へ。


それから、膨大なファイルを一章ごとに区切った。


慣れないことなので、それだけでくたびれてしまい、その後は別のことにごそごそ夢中になり、原稿は放置したまま。


時間はどんどん過ぎていき、お盆を過ぎたら強烈な残暑しか残っていなかった。


九月。


九月の空。


九月の風。


気温だけが八月のまま。


不安になりコーディネーターに泣き言を言った。

締め切りは一ヶ月延びた。


「プロだって、締め切り一ヶ月前にならないと書き始めないね。でも、きちんと間に合わせるところがプロなんだよね」


ここでへまをやったらみんなに迷惑がかかる。


そしてもう二度と仕事はこない。


なんで同じ年に生んだ子どもがいるのに田口ランディは、あんなにばりばり書くのだ。


あたしにはまだプロ根性がない。


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ばーちゃる本屋

2003年09月17日(水)
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