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■ 共犯関係
電車で通勤していたころのことだ。
支線に乗換えて7分。
手を離してもかばんが落ちないほどの満員状態が続く。
でも、7分だけだ。
その駅でみんなどっと降りてしまう。
共犯者もその駅で降りてしまう。
あたしは、もっと田舎の方まで行く。
最初のきっかけも、何年間その共犯関係が続いたかも覚えちゃいないが、電車通勤をしているあいだ、だらだらとその関係は続いた。
乗換駅のホームの端で一瞬だけお互いの姿を視界のはじっこで捕らえると、あとは惰性と性欲のおもむくままに、なるべくカラダが密着するように、乗るドアを選ぶ。
当然のことながら、一切会話せず、視線さえもからめあうことはなく……。
一度だけ社名入りの茶封筒を見たことがあるが、氏素性は何もわからない。
7分間、カラダを密着させる。
ただそれだけ。
ひそやかな朝の悦びを分かち合った共犯関係。
満員電車。
制限時間7分。
当然のことながら服の上からしか、共犯者はあたしに触ることができない。
ポルノ映画のように、服の下に手を伸ばしてきたことはなかったように思う。
胸をもまれ、股間に手のひらを当てられ、軽く指で突かれ、あたしは何度も立ったまま逝った。
2003年03月03日(月)
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