singersong professor KMの日記

2011年03月27日(日) 「構造改革」は魔法の杖か

 今朝の日経読書欄「経済論壇から」で、東京大学の福田慎一教授が「大震災が示す日本経済の課題 今度こそ構造改革を」と題して,経済論壇の時評を書かれている。そこでは「今回の大震災がなくても、もはや構造改革の先送りはほぼ限界にきていた。従って,復興が大事だからといって、さらに構造改革を先送りするとしたら本末転倒である」と述べられている。

 構造改革という言葉で何を語ろうとされているのか。何か魔法の杖のようにそれが振り回されているように感じる。そのコンテクストからすれば、どうやら国債発行には限界がきているので、増税して財政を立て直すべきだと言うことのようである。財政立て直しに反対する人はいないだろう。それを増税でまかなおうとすることの問題だろう。

 これまで、そのロジックを何度も振り回し、景気回復の腰折れをもたらし、税収減→国債増発を繰り返してきたのではなかったか。まして今回の大震災で景気が悪化しそうなときに,再び増税論を振り回して,さらに景気が悪化したら,ますます国債依存に頼ることになると思われる。どこかでこの悪循環を断ち切らなければならないはずだ。

 なぜ景気が悪化するか、それは需要がないからだ。今回の大震災で政府が手をこまぬいていたら,需要はますます減退し,景気はますます冷え込むだろう。現に自粛ムードの蔓延で、夜の町は明るくない。ますます沈滞ムードが広がりそうだ。ここで、景気をてこ入れできるのは政府だけだ。まずは政府が需要創造をして景気回復を図るのが本道だと思う。デフレ脱却が先決だと思う。景気回復→自然増収、が本道ではなかろうか。

 増税、財政再建を何度も試みて、そのたびに景気腰折れをもたらし続けてきたのが、この「失われた20年」ではなかったのだろうか。構造改革、増税が先だという議論は、それこそ本末転倒ではなかろうか。


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