先だって,日経2月25日号の経済教室で,佐々木毅学習院大学教授が「経済危機が映す政治の貧困 脱却へ大変革の決意示せ」という論考が掲載されていた。全く同感だ。正確な状況認識のもと構想力をもって適切な処方箋を政治家が示すべきだと言う主張である。ところが日本では状況認識と構想力が貧困であるという。全くその通りだ。現在の経済危機の原因は外需依存でどうにか成り立っていた経済がグローバル市場の急速な収縮で破綻したことにある。「昨年の秋以来の事態は,内需の貧しさを外需依存で覆い隠し,同時に政府の施策の貧しさを覆い隠すという「二重の隠蔽」が限界に達していることを示した。」という。そうだと思う。ではどうすればよいか。同論文は主義主張より具体的な政策論争をするべきだし,社会保障番号制度の導入といった国民を公平に取り扱うためのインフラを早急に整備する必要がある,と主張する。内需拡大なども主張されているが,さらに踏み込んだ主張はされていない。
そこで,私が年来思っていることを書いておこう。少子高齢化は言われ始めてから相当になる。だからこそ,流通再編が進むし,製造業も外国の市場に目を向けざるを得ない。そして外需依存がはげ落ちて今回の不況となったわけだ。とすれば,内需はどうすればふやせるのかということにつきる。市場や労働力という両面からいえることは,女性の社会進出と子育ての両立を保証することが必要なことは火を見るより明らかなことだ。ところが,そこに踏み込んだ議論がされない。政治の怠慢である。ひとつはアファーマティブ(女性優遇)で,全上場企業の役員・役職者の何割は女性でなければならない,などという踏み込んだ制度を作る必要があるだろう。そこまでのドラスティックな政策を打ち出すべきだろう。そして,子供を産み,育てられる環境を整備すべきだろう。未だに希望すれば,子供を安心して保育所に入れられるという仕組みができていない。安心して子供を産めるような仕組みも不十分だ。むしろ悪化してさえいるように見受けられる。産婦人科医をもっと優遇して良いのではないか。
また,同一労働同一賃金など言われて久しいが,いっこうに実現していないむしろ逆行している。契約や派遣社員,パート社員がいかに冷遇されているか。正社員中心の年功賃金はもはや維持不可能だろう。今すぐそこへもっていくことはできないだろうが,方向性は示すべきではないか。未来に希望がもてる社会であってこそ,需要も喚起できるはずである。これらを総合したトータルなバランスのとれた政策を政治家が打ち出すべきであると思う。少子高齢化のいっそうの進展が言われており,楽観的予測に基づいた現行年金制度のもとでは,年金不安など解消するはずもない。これでは需要が盛り上がるはずもない。日本人の特性としてみんな貯蓄に励み,そして,その貯蓄は米国人の消費に回されたのではなかったか。そのあげくのサブプライムショックであり今回の不況ではなかったか。
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