singersong professor KMの日記

2008年07月13日(日) 国力論

 名誉教授になられている小野進先生からすすめられて,中野剛志「国力論 経済ナショナリズムの系譜」(以文社)を読んだ。すごく良い本だった。でも今の潮流に完全に棹さす論調なので,出版も難渋されたようだ。同氏は,経済産業省の現役官僚でもある。その人が,真っ向から「構造改革路線」に異を唱えているのだから面白い。しかも重厚である。イギリス民族学会賞受賞作のハイグレードな書物である。こういう本はもっと読まれても良い。

 野村総合研究所のリチャード・クー「日本経済を遅う二つの波」(徳間書店)なども良い本だと思う。サブプライム危機とグローバリゼーションという二つの波が,いま日本をおそっているとするものである。今やサブプライム危機は金融危機から実体経済の危機へと深化していると思う。他方でBRICSが日本を追い上げている。日本経済がどちらへ向かおうとしているのが大問題だ。一番の問題は,その舵取り役である,政官が迷走していることだ。ただ上記のような上質の経産官僚がいることは救いである。しかし同氏が国論をリードしていけるだけの影響力はまだないと思う。それだけに,応援団となりたいと思う。

 ジャグディシュ・N・シース「自滅する企業」(英治出版)という本も良かった。講義なども一応の集結に近づき,これらの本にも目を通せるようになった。


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