singersong professor KMの日記

2007年12月11日(火) こういうときに限って

 こういうときに限ってJRが遅れる。今日は少し家を出るのが遅れた。ほんの10分あまり遅れただけだけれど,そうなると,嵯峨野線とびわこ線の接続が良くない。嵯峨野線も少し遅れたが,びわこ線が大幅に遅れていて,2時間目の講義(卒業研究)に対して,ぎりぎりの時間となって,かばんなどを持ったまま教室へ行った。とにかく,時間にぎりぎり間に合ったものの,相変わらず,卒業研究受講生の出席が少なかった。やはり,もう少しゆとりを持っての通勤でないと,心せわしい。

 最近久しぶりに奥村宏先生の本を読んだ。この夏に出た「会社学入門−実学のすすめ」七ツ森書館,というのがそれで,経済学部のO先生からすすめられて読んだのだが,一気に読み終えた。奥村先生とは古くからおつきあい願っているが,最近はあまり交流が薄くなっていた。この本に書かれている所有論研究会には毎月出させて頂き,いろいろと勉強させて頂いた。だから,先生の考え方,ビヘイビアはよく知っているので,なつかしく,また容易に感情移入できた。

 とくに,「実学のすすめ」というサブタイトルには興味をそそられた。大学で行われている通常の講義,経済学にせよ,経営学にせよ,それらは欧米の著書の翻訳に過ぎず,「虚学」であると喝破される。私も共感するところだ。京都大学の名誉教授T先生(この先生には大変教えられた)もいわれていたが,「あれは横のものを縦にしただけだ」つまり翻訳しただけでオリジナリティがないとよくいわれていたが,これは日本の多くの学者に共通するところのようだ。私なども気をつけなければならないと思い,まさに「実学」(奥村先生が言われるように,日本の現実をふまえた学問という意味だが)に精を出してきたものだ。

 その本の中にも書いてあったが,日本の大学の先生が社会人大学院生に教える内容を持たないという。「現実感覚をもったこれら社会人に教えることができるような人を大学院の教授にすることが必要なのだが,……日本の大学教授市場はそうなっていない」(同書,194頁)といわれる。幸い私の大学院での講義は社会人の皆さんには評判がよいと聞く。そういう意味では,私は奥村先生の言われる「実学」を重んじてきたと言えると思う。今後も,私は日本の現実に有効な理論を考え,講義をしていきたいと思っている。


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