singersong professor KMの日記

2006年09月13日(水) つくづく思う

 最近つくづく思うことがある。世の中進歩発展しているのか,と。若い頃は,世の中進歩発展していると信じていた。また時代がそれを信じさせてくれた。ところが,日本であれ世界であれ,社会の状況を見ると,とても進歩発展しているとは思えない。しかし考えてみれば,もとからそうであったように思う。あのギリシャ・ローマの時代に,あれだけの建築物を造り芸術作品を作り上げたのに,中世になると,まさに暗黒時代。キリスト教の問題だと言われる。それからの脱却はルネサンスを待たなければならなかった。これが世界史の常識だ。

 その後世界は発展してきたというのが,これまた常識となっている。しかし,これもある意味常識として知っておいて良いことだが,たとえば,新たな政権,新たな政治体制が作られると,過去はあたかも暗黒であったように言う。すべて過去が誤っていてこれをただすためにこの政権,政治体制を作ったと吹聴するのが新政権,新たな政府の常套手段だ。敗戦後,戦前の日本を全否定して民主主義を謳歌した日本。しかしそれはおかしい。新たな政権の正統性を吹聴するために過去を否定しているにすぎない。

 明治新政府が徳川時代を封建時代だと切り捨てたのも同じ論理だ。また学界もそれを根拠づけた。歴史は後世の人間が書き上げる物語にすぎない。だから,次々と革新が行われ,進歩してきているという言説が行われ,それをみんなが信じているにすぎない。かつてはスパイラルを描いて進歩発展していると思っていたが,どうやらサークルを描いて,元に戻ることがあるだけにも見える。そして時には状況は悪化したり,後戻りをしたりする。

 今の日本社会の劣化をみていると,そういう歴史観を実証しているように思う。この歳になると,一体孫子に何を残せるのか。いや財産というものではなく,よい制度,知恵といったものを残せるのかと思ってしまう。後世は後世の人が考えると言ってしまえばそれまでだが。


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