singersong professor KMの日記

2006年08月28日(月) 王子製紙によるTOB

 王子製紙による北越TOBは,いよいよ困難になってきたようだ(下記記事参照)。この問題の最終局面にさしかかっているようだ。この問題をどうみるか,われわれ財務を扱っている人間としては,整理しておく必要がありそうだ。M&Aの時代ではあるが,やはり敵対的TOBは困難だということだ。これは別に日本だけのことではない。TOBをされる会社の経営者が防戦するであろうことは当初より予想できたはずだ。どこかに見込み違いがあったのだろう。日本製紙が独自に北越株を買い集めたのが想定外であったと思われる。

 この問題への需要側の意見が,日経8月5日号に掲載されていたが,そのほかの多くの見解は投資家側の意見が多かったように思う。同記事では日本印刷産業連合会が王子と北越の統合に反対する声明を決議し,公正取引委員会に意見書を提出したと報じていた。寡占に対する懸念を表明したものであった。M&Aというと,華々しい側面ばかりが報じられるが,それが各方面にプラスの影響を及ぼすだけではないことにも留意すべきである。今回のように,必ずしも行き詰まってもいない,好調企業である北越製紙に対するTOBは,単に企業価値向上,という理屈だけでは納得を得にくいのではなかろうか。企業価値すなわち株主価値と置き換えても良いわけだから,世の中には株主だけが存在しているのではない。企業には多くのステークホルダーがいるわけで,そのあたりのバランスが重要だということだ。

 今回に限らず,最近のM&A関連の報道で,公正取引委員会の動きが余り報じられないのは,いかがなものであろうか。風潮といえば風潮だが,また,これはアメリカでもそうだが,最近は証券市場でのフェアーは問題にされるが,商品・製品の取引の方のフェアーは見過ごされがちだと思う。フェアー・トレード=公正取引,は証券取引だけではなく製品取引についても,当然問われてしかるべきだと思う。否,むしろこちらの方が日常生活に及ぼす影響は大きいはずである。もちろん企業の自由な営業活動を何でもかんでも制約するのは良くないが。

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王子、北越買収を断念 TOBの成立困難

 国内製紙業界最大手の王子製紙が、同6位の北越製紙との経営統合を、当面、断念する見通しとなった。北越に対して仕掛けている株式公開買い付け(TOB)の成立条件である北越株50%超の取得が、極めて困難となっているため。王子は週内にも最終判断を下すとみられるが、経営戦略の抜本的な見直しを迫られることは必至だ。
 今回のTOBに対しては、北越株24・4%を保有する筆頭株主の三菱商事が拒否姿勢を示しているほか、日本製紙も9%弱の株式を取得して反対を表明。北越の創業地である新潟県の地元金融機関や取引先なども北越支持を表明している。
 王子はTOB成立のために、(1)800円としているTOB価格の引き上げ(2)50%超としている北越株取得目標の引き下げ(3)9月4日と定めたTOB期限の延長−の条件変更ができるが、終盤に入っても北越側の抵抗は強く、条件変更に踏み切ってもTOB成立は厳しいとみられる。
 王子は27日、「条件変更を行わないと決めたわけではなく、引き続き成功に向け努力する」との談話を発表したが、社内には「TOBが成立さえすればいいというものではない」と条件変更に慎重な意見があり、残る1週間で事態が好転しない限り、条件変更は見送られる見通しだ。
 王子は北越買収により、企業の枠を超えた設備の統廃合を進めて高収益体質を築くことを提案。業界再編をも視野に入れ、三菱商事と協力関係構築も模索していた。しかし、三菱商事は北越との提携戦略を明確にしないまま交渉を拒み続けており、今後、両社の間にしこりが残る可能性もある。(産経新聞) - 8月28日8時2分更新


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