singersong professor KMの日記

2006年01月04日(水) 行儀が悪い

 「<規制緩和>市場原理、過疎に冷たく 民間いいとこ取り!?」(毎日新聞)- 1月4日13時19分更新-と題する記事が出ていた。同記事曰く。

 「民間で出来ることは民間で」と小泉純一郎首相が大号令をかける規制緩和。郵政民営化、公務員削減など「官から民」の響きは勇ましいが、過疎地は降ってわいた市場原理に揺れている。【田後真里】

 すなわち「栃木県日光市に近い鬼怒川温泉。そこにある東武鉄道の駅前に二つのバス停留所が並ぶ。いずれも路線は同じで同県栗山村の奥鬼怒温泉郷入り口の女夫渕(めおとぶち)温泉までを約1時間45分で結ぶ。
 停留所の一つは、栗山村が運行する村営バス。片道2100円。もう一つは民間のしおや交通(栃木県塩谷町)で500円安い1600円。しかも、しおや交通の出発時間は村営バスより5分早く設定されている便が多い。」

という。以前東武鉄道がバス運行していたのだが、廃止されたので、町の足として高校生の通学や高齢者の病院通いのために町が補助して運行されてきたという。ところが「規制緩和」の波がここに押し寄せてきたわけだ。

 「00年の道路運送法改定で、バス事業が免許制から許可制へと緩和され、しおや交通は昨年7月に参入した。平日は運行せず、観光客の多い土、日曜と祝日に限って1日3往復を走らせる。増渕岩男社長は「安ければ客は喜ぶし、国の規制緩和政策にもかなう」と語る。」

行儀が悪いというべきだ。

 その結果、「栗山村の財政事情は苦しくなった。住民生活課によると、しおや交通が参入した昨年7月から同年12月18日までの土、日曜と祝日の同路線利用者は約3500人。うち約980人がしおや交通に流れた。観光シーズンの同年8月の1カ月間で収入は04年8月に比べて95万5980円減少した。」

という。利益追求はよい。だが企業が社会的存在であることを忘れてもらっては困る。「規制緩和」はしばしばこれを忘れさせる。かつて「企業公器論」ということがいわれた。利益を追求するのも、それが広い意味で公益につながるからそれが許されているという自覚を経営者が持たない限り、資本主義は存立できない。姉歯、木村建設、ヒューザーなどが許されないのは、その存立の根拠を忘れているからだ。

 昨日の朝日新聞で、給食費などの学校の費用を補助してもらっている家計が1,2割もある、場所によっては4割になっていると報じられていた。ショックだった。その計算根拠などが正確に書かれていなかったので、疑問を感じるが、それでもそういう家庭が増えていることは事実だろう。2極分化、「勝ち組」「負け組」、不平等化、などなどが最近よく取り上げられている。不正確なものも多いが、方向としてはそういう方向にある。「規制緩和」がこれを助長している。

 規制緩和が、官の無益な規制を撤廃する方向へ向かうのはよい。ところが実際には、先のバス運行会社のように、これに「悪乗り」する輩が多い。何にでも行き過ぎはある程度やむを得ないと考える。けれど、それにも程度というものがあるはずだ。最近の風潮はどう考えても度外れている。安っぽい規制緩和論が横行している。どこかで歯止めをかけないと危ないと思う。「殺人請負会社」が許されるはずはないのだから。


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