Tonight 今夜の気分
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2009年03月15日(日) 笹川 尭 総務会長 : うつ病 巡り、誤解を与える発言



「 誰にでも、知らないことはある。 そのことが人によって違うだけだ 」

                  ウィル・ロジャーズ ( アメリカのコメディアン )

Everybody is ignorant, only on different subjects.

                                    Will Rogers



ある 「 精神科 」 に、異なる症状を示す A、B、C 三名の患者が来院する。

もし、貴方が 「 精神科医 」 だとしたら、どのような診断を下すだろうか。


患者 A : どこも身体は悪くないのに、動くのが不自由で、たった1メートル先の物を取るのにも、千里の道を旅するほどの辛さを感じる。

患者 B : 何をする気力もなく、仕事が辛く感じるけれど、休暇をとり自宅で安静に寝ていれば、最低限度、日常生活を過ごすことは差し支えない。

患者 C : 会社に行くのが辛く、意欲が低下し、抑うつ気分が続くが、休暇をとっている間は、趣味に興じたり、旅行、レジャーを楽しむことができる。

おそらく、一般の方からみると A は “ 重い精神病 ”、B は “ ちょっとした適応障害 ”、C は “ 病気か、ずる休みか微妙 ” という見方が多いだろう。

実際には、現在の診断基準に照らすと、A、B、C 三名ともが 「 うつ病 」 と診断される可能性が高く、いわゆる世間の常識とは、少しギャップがある。


特に 患者 C の場合、「 仕事を休み、職場に迷惑を掛けているのだから、良識に照らし合わせて考えると、安静にしているべき 」 と世間は感じる。

あるいは、「 趣味に興じたり、旅行や、レジャーに出かけられるのならば、仕事だって頑張ればできるのではないか 」 と思うのが自然だろう。

従来、うつ病というのは、気分が沈んだ状態のまま経過する病気と考えられてきたが、「 双極況 」 といって、周期的に活動性が高まる症例もある。

精神科医から 「 好きなことをしなさい 」 と言われ、仕事より “ 重労働 ” を伴うような趣味や、ボランティアに参加している 「 うつ病 」 患者もいる。

周囲の人が、「 それくらいできるなら、もう大丈夫だ 」 と本業に連れ戻した途端、また “ うつ症状 ” が出る 「 仕事中だけ うつ 」 という症例も多い。


自民党 の 笹川 尭 総務会長 が、大分県連の大会で 「 うつ病 で休む教員が多いが、気が弱ければ務まらない 」 と発言し、問題になっているという。

文部科学省 のまとめでは、07年度に うつ病 などで休職した公立学校の教員は 4995人 ( 前年度比 320人増 ) で、過去最高だったらしい。

この発言は、たしかに 「 うつ病 の知識 」 が浅薄で、病気に対する誤解や偏見を招く可能性が高いため、問題視されても仕方が無い。

だが、保護者の側からみて、自分の子の担任が うつ病 でよいかと問えば、了承する人は皆無に近いはずだから、「 務まらない 」 のは事実である。

余計な前置き ( 気が弱ければ ) を付けず、「 うつ病 では務まらない 」 とすれば問題ないが、緩慢な表現を加えたことで、逆に、問題発言となった。


最近の傾向をみると、うつ病 に対する誤解や偏見を助長している根源が、実は 「 うつ病 患者 自身 」 である例も多いことに気付く。

世間の うつ病 に対する理解が深まったことで、精神科の敷居が低くなり、堂々と適切な治療を受けられるようになったのは、もちろん、良いことだ。

患者の中には、ブログ などで 「 自分は うつ病、治療中 」 だということを、アイデンティティの中核として、プロフィールに載せている人も多い。

だが、うつ病 が医学的に 「 れっきとした精神疾患 」 であるにも関わらず、彼らの多くは 「 私は うつ病 だけれど、精神疾患ではない 」 と主張する。

自分が うつ病 だと自己申告することで、注目や、同情は得たいけれども、「 精神病だと思われては困る 」 という虚栄心が、事実を捻じ曲げている。


最初に挙げた A、B、C の事例でわかるように、うつ病 は本人の自己申告に基づく ( 他人に理解されにくい ) ものも多く、客観的に判別し難い。

どうしてもやる気が出ないなどの 「 うつ状態 」 が二週間以上続いた場合、他人がどう思おうと、本人が病気だと言えば、それは病気なのである。

また、うつ病が 「 単なる気の持ちよう 」 や、「 気合いで治る 」 ようなものではなく、ましてや 「 仕事を休むための インチキ 」 でないことは明白だ。

しかし、一方で 「 軽くはない病気 」 と主張しながら、片方で 「 精神病ではない 」 と否定する一部の患者による矛盾が、偏見、疑惑を助長している。

うつ病は、「 ふつうの精神病 」 であり、ふつうに治療すれば、ふつうに回復するわけで、患者も、周囲も、それを特別視すること自体が偏見である。






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