「 柔らかい物腰で話し、大きな棍棒を持ち歩け 」
セオドア・ルーズベルト ( 第26代アメリカ合衆国大統領 )
Speak softly and carry a big stick.
Theodore Roosevelt, Jr.
彼は、この言葉通り、紳士面と軍事力を背景に、外交を推進した。
ただし、それは彼にかぎらず、アメリカの一貫した外交姿勢でもある。
中国の国家元首としては10年ぶりに、胡 錦濤 国家主席 が来日し、早速、福田 首相 主催の夕食会では、お得意の 「 パンダ外交 」 が披露された。
先日、上野動物園のパンダが死亡し、同園のシンボルがいなくなったこともあり、日本政府による雄雌計2頭の借り受け要請に応じたものだ。
明日以降、5日間の滞在期間中に、種々の議題を 福田 首相 と会談する予定になっているが、途中、京都、大阪、奈良などにも立ち寄られる。
来日の主目的は、「 日中関係を長期的、安定的に継続させる土台作り 」 と位置づけられているが、実現に向けて、話し合うべき課題は山積している。
チベット問題、東シナ海のガス田開発、ギョーザ中毒事件などの不安要素について、どこまで踏み込んで話し合えるかが、会談の焦点となるだろう。
また、日中ハイレベル経済対話、環境関連の技術協力、日本の国連安保理常任理事国入り、北朝鮮問題、台湾問題なども議題になる見込みだ。
前回の日記で、死者が1万名以上と書いた ( 現時点では2.5万人以上の見込み ) ミャンマー への復興支援も、それに加わる公算が高い。
中国側としては、日本との友好関係を世界に向け発信することで、チベットへの弾圧に抗議する 「 国際社会の信頼を回復したい 」 思惑がある。
日本政府 ( 福田 内閣 ) としては、支持率の低迷を挽回するために、首脳会談で一応の成果を上げ、ポイントを稼ぎたいというのが本音だろう。
以前のように、靖国参拝問題などの 「 堂々巡り 」 に翻弄されることもなく、お互いに、具体的な解決策が話し合えるのではないかと期待している。
福田 首相 としては、その外交手腕が問われる重要な局面であり、今回の会談に賭ける意気込みは相当なものだろう。
わかりやすく言うと、「 中国が国際社会から認められるように、一役かってやるから、代わりに何の手柄をくれるんだ? 」 という交渉力が求められる。
たとえば、「 北朝鮮に働きかけて、拉致被害者を帰してくれる 」 なら 「 五輪の開会式に出てやる 」 とか、お互いの切り札を見せ合う可能性もある。
現時点で、中国側が日本に望むものは、環境分野での技術協力を除くと、おそらく、「 イメージアップ戦略に対する協力要請 」 が大きいだろう。
切り札は少ないが、それを上手く活用し成果を挙げて欲しいところであり、間違っても 「 パンダ2頭だけ 」 という結果にならないことを望む。
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