| 2006年11月03日(金) |
上海当世事情 〜 グルメ編 �� その他 〜 |
「 人間は栄養物を食べるのではありません。
食べ物を食べるのです 」
メアリー・C・ベートソン ( アメリカの人類学者 )
Human beings do not eat nutrients, they eat food.
Mary C.Bateson
さすが、高名な人類学者 ( anthropologist ) のお言葉である。
食事の習慣を、「 生命を維持するためだけ 」 と考えるのは不幸の極みだ。
数年前に交際していた女性が 「 健康オタク 」 な人で、不健康きわまりない生活が大好きな私とは、しょっちゅう意見が衝突していた。
彼女は、納豆が嫌いだと言えば 「 体に良いから食べろ 」 だとか、普段の食事では摂れない栄養素を 「 サプリメントで補え 」 とか、なにかと煩い。
後から冷静に考えれば些細な問題で、言い争うほどのことでもないとは思うのだが、その当時はそれが 「 癇に障った 」 ので、よく口論していた。
体を心配してくれていることは十分に理解できるのだが、大病を患ったことのない私にとって、過剰な心配は面倒に感じたのだろう。
バランスの良い食事は大切だが、一生に食事をする膨大な回数を鑑みれば、それは 「 栄養摂取の機会 」 ではなく、「 愉しみ 」 だと考えたい。
もちろん全員だとは断定できないが、私の出会った範囲では、上海の人は食べることが大好きで、中華料理にかぎらず、様々な料理を楽しんでいる。
たとえば、田舎に住む中国の人は カレー の苦手な人が多いけれど、上海では普通に食べられているし、カレー風味の創作中華メニューもある。
また、満足のできる パスタ を提供するお店や、ピッツア のお店も中国では上海しか知らないし、そこで食べているのは外国人ばかりでもない。
前回、ご紹介した ハトシ もそうだが、洋中折衷や、和中折衷など、外国の料理との コラボレーション を施した創作中華も、上海が進んでいる。
フランス料理は不人気なのか、あまり見かけず、噂も聞かなかったが、それ以外は何でも揃っていて、最近は外国人より現地の人がよく利用している。
ファーストフード店では、出店の早かった 『 ケンタッキーフライドチキン 』 の店舗数が多く、どのお店も盛況で、家族連れやカップルで賑わっている。
ただ、お馴染みの フライドチキン より、焼き鳥風の現地オリジナルメニューが人気のようで、あの独特の スパイス を好まない人も多いらしい。
競合の 『 マクドナルド 』 に入ったら、ポテトM と コーラL の付いた ダブルチーズバーガーセット が15元 ( 約225円 ) だった。
味は日本と同じだが、はみ出した チーズ が包装紙にやたらひっつくので、その原因が チーズ にあるのか、包装紙にあるのか、とにかく食べ難い。
利用しなかったが、宅配ピッツアの 『 ピザハット 』 や、地元ローカルの中華ファーストフード 『 カンフー 』 なども、好調に店舗数を伸ばしている。
中華料理店に比べ日本料理店は値段が高いけれど、所得水準の上がった上海市民の多くが訪れるようになり、いまは 「 日本食ブーム 」 である。
日本の食材 ( ドライグロッサリーなど ) を売るお店も、日本人駐在員だけではなく、現地の主婦層に人気があり、なかなかよく売れているという。
コンビニエンス では 『 ローソン 』 の看板が多く、それ以外の チェーン でも、おにぎりや、和風弁当、おでんなどが販売されている。
おでんの 「 具 」 には、日本で見慣れないものも多いが、利用する客層は日本と変わらないので、若者受けする品揃えが用意されている。
珈琲が飲みたくなって 『 スターバックス 』 に行くと、ほぼ同じ味だったが、ついでに頼んだ ケーキ が、値段は高いのに、あまり美味しくなかった。
たぶん日本で食べられる大半の食べ物が、上海に在るといっても過言ではなく、何年も現地に駐在する日本人にとって、それは有難いことだと思う。
韓国風焼肉店や、ハングル文字の看板が多いことから、日本と同じように、韓国人の出張者、駐在員も、上海には多いのだろう。
世界中のビジネスマンが上海に集まり、海外の文化が定着し、地元の人が素早く吸収して、折衷により形を変えたり、改良して組み入れられる。
上海の食文化をみただけでも、世界からの着目度、期待値、現在の隆盛が計れ、そこが伸び盛りの状態にあることを示している。
たかが食べ物と侮る人もいるだろうが、政治や、経済や、外交のすべてが、その国の食文化に集約されているもので、とても重要な指標になっている。
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