Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2005年08月11日(木) 頭でっかちの若者たち



「 人生の大きな目的は、知識を得ることではなく、行動できることだ 」

               トーマス・H・ハクスリー ( イギリスの動物学者 )

The great end of life is not knowledge but action.

                            THOMAS.H.HUXLEY



100の使えない知識を持っているよりも、一つでも使えるほうがよい。

そんな当たり前のことさえ、わからない人がいる。


若い世代の中途退職者を対象に、再就職のお世話をしている。

最近、特に多いのが 「 資格マニア 」 などと呼ばれる人たちで、暇をみては仕事そっちのけで数々の資格を取得することに奔走する面々だ。

たしかに、職種によっては資格保持を採用の条件に示している募集案件もあるので、「 持っているほうが有利 」 なことは事実である。

しかし、たとえば 「 簿記一級 」 の資格は持っているが実際に経理で働いたことが無い人より、二級でも実務経験のある人のほうが採用されやすい。

机上の知識では得られない何かが、そこにあるからだろう。


ベテランの経理マンに会う機会があり、そのあたりの事情について尋ねると、とてもわかりやすい答が返ってきた。

いくら資格試験が超難問でも、そこには必ず明確な 「 問題に対する答 」 が用意されており、勉強さえすれば正解に辿り着くように出来ている。

ところが実際の仕事現場では、伝票が紛失したり、思いがけないトラブルがあったりして、手持ちのデータで 「 正解 」 が導き出せない場合が多い。

そんな場面で、不慣れな者が処理にあたると、何もできずにうろたえたり、無理につじつまを合わせようとして、重大なミスを犯すことも珍しくない。

新卒者の場合を除き、企業が中途採用者の選考基準として 「 有資格者 」 よりも 「 有経験者 」 を求めるのは、そんな理由が大きいのである。


それに、仕事を通じて得られるものは、報酬、職務能力、知識だけでなく、やはり 「 人間的な成長 」 のような部分も多く含まれているものだ。

学校に通っても成長は望めるが、学生時代の仲間というのは、自分の気に入った相手とだけ付き合うなど、自己都合で相手を選べることが多い。

社会人の場合はそうもいかず、苦手な上司、同僚、得意先とも連携しなければならない場面があり、こちらの都合で相手など選べないものだ。

そういう経験を重ねていって、折衝力や協調性などの対人能力、他人との共感、理解などの 「 人間力 」 みたいなものが養われてゆく。

どんな資格や特技を持っていても、人間力に乏しい人は円滑な人間関係を構築する作業や、成果の挙がる仕事の推進が難しいものである。


実務経験の裏付けがない資格や、机上の知識だけが膨れ上がり、人間力を持ち合わせていない人は、「 プライドだけは高い 」 状態に陥りやすい。

その姿勢が、さらに再就職を困難にしていく。

スキルは低いが 「 自分の短所、欠点を素直に認める人 」 が早く再就職を決めていく一方で、片や成績優秀な面々が取り残されたりしている。

彼らの一部は、「 再就職がなかなか決まらないのは、まだスキルが不十分だからだ 」 と思い込み、さらに上の資格を得ようと勉強に励む。

その結果、ますます未就労期間のブランクが長引き、自分が企業にとって 「 使えない理由 」 に気付かぬまま、いたづらに時間だけが浪費される。


彼らの多くは精神的に 「 うつ状態 」 であったり、実際に 「 うつ病 」 や、「 自律神経失調症 」 という病名に認定され、通院していたりもする。

かろうじて再就職を果たしても、そのような病魔に冒され、会社を辞めたり、あるいは閉職に追い込まれる人も多い。

彼らからすれば、「 自分は “ うつ病 ” だから閉職に追いやられた 」 などと思っているが、実際は少し状況が違う。

真相は、「 “ うつ病 ” になったからではなく、“ うつ病 ” になるような人だから閉職に追いやるしかなかった 」 のである。

働くこと自体に価値を感じ、人間力を高め、「 昔とった杵柄 」 のような知識や資格に頼らず、行動して成果を挙げることが解決の糸口となる。






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