かなしいうわさ
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2005年07月08日(金) 453

アストラル・トラヴェリング! 
凄い。この男はまたやってくれた。音がでかいわ。でかいというのは音量じゃなくて器の話。


ronan o snodaigh /playdays
ローナン・オ・スノディ /プレイデイズ

cover
KiLAの太鼓叩き、野獣のような見た目の男、ローナン。前作の「トンタ・ロー:俺のグルーヴ」は、ぐつぐつと煮え滾るようなホットなパーカッションのリズムの上に粗野な声でやるせないメロディが唄われる素晴らしいアルバムだった。 この新作ではパーカッションを前面に出さず、ギターのカッティングと声中心に、多彩な楽器をそっと添えて、地味に作られている。前作にあった総毛立つようなクールさはここにはない。ないけど、その分メロディの美しさが引き立っている。

ぶっ壊せぶち破れ、とか、楽しもうぜ笑おうぜ、とかではなく、OKOK、ちょっと立ち止まってあのイイ感じに浮かんでる月でも見ていかないか、いうような感じ。なんだよ、クサい奴だな!でも月見たりするの皆けっこう好きでしょ。本当は。クサくて照れ臭くて言えないだけでしょ。ローナンは言うんだ。さらりと。そんな器のでかい音。iPodかなんかに入れて河原とか海とか行って、寝転がって月を見ながら聴くといいよ。体がほわりと中に浮くぜ、きっと。高揚感ドバドバなトランシーな音ではなく、ごく地味なんだけど、静かな多幸感で満たされていて、体が空に向けて浮かんでいくような気がする曲というのがたまにある。例えば、トム・ウェイツがたまーにやる、地味で静かで柔らかな曲。ヴァン・モリソンの、メロディは平坦なのに尋常じゃない思い入れで唄いこまれた歌。あとカエターノの「Terra」とかね... そんな奇跡みたいな曲でアルバム一枚が埋められている。

とにかくも、この男はまたやってくれた。すげえ嬉しい。
アストラル・トラヴェリング!








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