どんぐり1号のときどき日記
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| 2010年07月07日(水) |
意外と良い「ファンボーイズ」 |
全国的に七夕の今日、「ファンボーイズ」を見る。 これは、「スター・ウォーズ エピソード1」の公開を半年後に控えた頃、ガンで余命わずかの友人にこの映画を観せるため、スカイウォーカーランチへの侵入を目指すという、実に純粋かつふざけたロードムービーだ。 さすがに「スター・ウォーズ」ファンを自認するスタッフによって作られただけあって、「スター・ウォーズ」ネタや「スター・トレック」をおちょくったネタ満載、しかも無駄なところに金がかかっていたりする。言ってみれば「ホンクラの、ボンクラによる、ボンクラのための映画」だ。 だが驚いた事に、文字通りラストのたった一言で、「ホンクラの、ボンクラによる、映画好きのための映画」に昇華されていたのである。
警告。ここからはラストのセリフまでネタバレしているので、知りたくない人は読まない事。
実はこの「ファンボーイズ」、映画としての出来はあまり期待していなかった。実際問題として、映画好きから見れば間違いなくB級あるいはそれ以下の映画であろう。よりによって警戒厳重なスカイウォーカーランチへ忍び込もうなどと言う計画が、うまくいくはずなどないのだが、そこはコメディである。必要以上に豪華な出演者を集めて色々な抜け道を作ってしまった。 もちろんガンであと2〜3ヶ月のライナスに映画を見せたいという純粋な行為自体を、この映画が裏切る訳はない。最後にはライナス1人だけという条件で見せる事に成功する。ここは非常に感動的な演出である。
だが我々は、鳴り物入りで公開された「エピソード1」が決して傑作ではないという事実を「知っている」のだ。したがってライナスが観終わって出てきた時、絶対にガッカリしているはずだと判っているのである。それがあるから、成功したというカタルシスが弱くなってしまう。 そう思っていたら、それから半年後の画面になり、「エピソード1」が華々しく上映される直前の映画館で、主人公がつぶやくのである。 「もし、駄作だったら…」と。
ここでこの映画のスタッフは、「スター・ウォーズ」をきちんと理解していると判るし、そして恐らく死んでしまったライナスは、この映画を観て感動したのではなく、駄作だと判っても、友人達が自分のために色々なものを犠牲にしてまで観せてくれたという、その行為自体に感動したのだと判るのだ。
そしてさらに、ルーカスにもっとまともに映画を作るべきだというメッセージも込められているはずだ。何故なら、もし単に「スター・ウォーズ」を絶賛するつもりなら、「エピソード3」をメインに持ってくるべきだからだ。 もちろん「エピソード1」公開時の騒ぎは尋常ではなかったし、まさにお祭りだったのは判っているが、まともな映画ファンなら「エピソード1」で感動などしないだろう。それをあえて持ってきたところに、スタッフの底意地の悪さを感じるのだ。 おちょくっているのは、トレッキーばかりではなかったのである。
繰り返すが、この映画はラストの一言があるから、映画としての体を成している。B級映画とはいえ、パロディには毒がなくてはいけないのである。
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