どんぐり1号のときどき日記
DiaryINDEXpastwill


2010年05月28日(金) 「serial experiments lain」

 昨日から見始めた「serial experiments lain」全13話は、結局2日ですべて見てしまった。単に途中で止められなくなっただけではあるが、やはり面白い。

 この作品は1998年公開と、今となっては古い作品だが、ほぼ10年後である現在の姿をかなり的確に捉えている。もしかしたら10年後も通用する作品かも知れない。
 かなり見る人を選ぶ作品ではあるが、記憶なんて実に曖昧なものだという押井ワールドが好きな人なら、それほど違和感なく入っていけるだろう。基本的にはネットと現実の境界の話なのだが、見方によっては全てが仮想であるとも言えるし、あるいは全てが現実だとも言える。いろいろと考えながら見られるので、とても楽しい作品なのだ。

 そして別にこれと言ったアクションがある訳でもないし、萌え系の美少女が出る訳でもないが(いや、この辺のセンスは人によって違うから何とも言えないし、意外とアリスのファンは多そうだ…)、妙に画面に引き込まれる。細かいところでは、あの低周波を表している音や、電車から眺める電線の動きが私はとても好きである。少し多く出し過ぎている感じはあるが、かなり良い雰囲気である。
 ただしテレビシリーズの宿命で、残念ながら13話しかないので結果としては色々と消化不良な部分はあるが、1998年という時代を考えると非常に野心的であり、しかもそれがある程度成功している実に画期的な作品だ。

 恐らく作者側は、テレビ・ドラマの「ブラックアウト」を多少意識していると思う。雰囲気が似ているところが少しあるのだ。そう考えると実写でも行けそうな作品である。ただしキャラクターの造形が実写では難しいのだが(そう考えると、ブラックアウトのアニメによるリメイクも可能だ。というよりアニメの方がうまくいくかもしれない)。

 いずれ2000年前後からコンピューターの性能や映像表現の技術は、加速度的に向上していき、才能のある人材が世に出やすくなったのは確かだ。それを上手く使いこなし、予測に成功したのがこの作品で、そういう意味では一見の価値は間違いなくある。
 ただし最初に書いたように、簡単に人に勧められる作品ではなく、人を選ぶのも事実なのだが。


どんぐり1号 |MAILHomePage